マルピーギ管(読み)まるぴーぎかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルピーギ管」の意味・わかりやすい解説

マルピーギ管
まるぴーぎかん

昆虫をはじめクモ、ヤスデなど陸生の節足動物にみられる排出器官イタリアの解剖学者マルピーギにちなんだ名称である。マルピーギ管は1本から数十本までの細長い管よりなり(管の数は種によって異なる)、後腸部に開口する一対の排出口につながっている。昆虫の排出について、管の前半部では体内のアンモニア尿酸のカリウム塩のかたちで、水、炭酸イオン、カリウムイオンなどとともに排出し、その後半部で水、カリウムイオンを再吸収し、おもに結晶化した尿酸のみを後腸部へ排出することが知られている。

[竹内重夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルピーギ管」の意味・わかりやすい解説

マルピーギ管
マルピーギかん
Malpighian tube

クモ類や昆虫など節足動物の排出器官で,中腸と後腸との境界部にあり,束をなした一群の糸状の盲管。クモ類では内胚葉昆虫類では外胚葉起源である。脊椎動物細尿管の機能に類似していると考えられていて,尿酸の排出や,ナトリウム,カリウムなどの管内への分泌,また逆に体内への再吸収などを行う。水分はほぼ全部吸収される。マルピーギ管の一部が絹糸腺に変形して繭をつくる (脈翅目幼虫) など他の機能がみられるものもある。

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