感染症指定医療機関(読み)カンセンショウシテイイリョウキカン

デジタル大辞泉 「感染症指定医療機関」の意味・読み・例文・類語

かんせんしょう‐していいりょうきかん〔カンセンシヤウシテイイレウキカン〕【感染症指定医療機関】

感染症予防法で規定されている感染症の中で、危険性が高く特別な対応が必要な感染症の患者治療する医療施設。特定感染症指定医療機関(1・2類感染症および新感染症患者)、第一種感染症指定医療機関(1・2類感染症患者)、第二種感染症指定医療機関(2類感染症患者)、結核指定医療機関(結核患者)がある。

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共同通信ニュース用語解説 「感染症指定医療機関」の解説

感染症指定医療機関

感染症の患者に質の高い医療を提供するため国や都道府県が指定した病院で、専門の知識や技術を持ったスタッフ、設備を持つ。H5N1型鳥インフルエンザや中東呼吸器症候群(MERS)など感染症法上の2類感染症に対応する「第2種」、エボラ出血熱などさらに危険性の高い1類感染症の治療も行う「第1種」、人から人に感染し健康影響が大きい新感染症も受け入れる「特定」の区別がある。新型コロナウイルス感染が確認された人の診療にも当たっているが、感染者の増加に伴い、一般の病院での受け入れやホテルなどでの療養が始まっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「感染症指定医療機関」の意味・わかりやすい解説

感染症指定医療機関
かんせんしょういりょうきかん

一般病院で対応するには危険性が高すぎると考えられている感染症の患者を収容し、治療する特別な医療施設。特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関、結核指定医療機関の4種がある。

 感染症予防・医療法では感染力や症状の重さから感染症を第1類から第5類に分類し、さらに必要なときにそのつど政令で指定する指定感染症、新感染症がある。設備などの事情から治療できる感染症は指定医療機関ごとに決められている。最重症対応の特定感染症指定医療機関は厚生労働大臣が指定し、1類感染症(エボラ出血熱、クリミア‐コンゴ出血熱、痘瘡(とうそう)(天然痘)、南米出血熱ペストマールブルグ熱ラッサ熱の計7病)、2類感染症(急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS(サーズ))、中東呼吸器症候群(MERS(マーズ))、鳥インフルエンザ(H5N1)、鳥インフルエンザ(H7N9)の計7病)と、未知で重症の新感染症の患者を入院治療する。2019年(平成31)4月の時点では、特定感染症指定医療機関は、東京の国立国際医療研究センター病院、千葉県の成田赤十字病院、大阪府のりんくう総合医療センター、愛知県の常滑(とこなめ)市民病院の4病院に計10床がある。これに対し、新感染症を除いて1類、2類を治療できる第一種感染症指定医療機関(原則として都道府県ごとに1か所)は55病院に103床ある。2類を治療できる第二種感染症指定医療機関(原則として二次医療圏域ごとに1か所)のうち、感染症病床を有する指定医療機関は351病院1758床、結核病床(稼働病床)を有する指定医療機関は184医療機関(3502床)。結核指定医療機関(結核患者に対する適正な通院医療を担当させる医療機関)は病院が8203機関、診療所が6万8773機関、薬局が5万9626である。第一種、第二種感染症、結核指定医療機関は都道府県知事が指定する。

[田辺 功・編集部 2020年12月11日]

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