改訂新版 世界大百科事典 「ミイデラゴミムシ」の意味・わかりやすい解説
ミイデラゴミムシ
Pheropsophus jessoensis
甲虫目ゴミムシ科の昆虫。頭部,胸部は黄色で黒色紋が,上翅は黒色で黄色紋がある。上翅は光沢がなく,隆起条を縦列する。体長16mm内外。北海道から奄美大島までの各地に分布し,水田や河原など湿った土地に多い。成虫は夜間,地上を歩いて昆虫をはじめ,各種の小動物を捕食する。とらえると肛門からプッという音とともに刺激臭のある液体を霧状に噴射するのでヘッピリムシ,ヘコギムシとも呼ばれ,英名もbombardier beetleという。肛門近くの袋にヒドロキノンと過酸化水素を蓄え,危険にさらさせると,この二つの物質が混ぜ合わさり,発生したガスの爆発音とともにベンゾキノンという化学物質を噴射する。6月ころ土中へ産卵。孵化(ふか)した幼虫の行動は活発で,ケラの卵塊にたどり着き,卵を食べて成育する。脱皮後は肥満体となり,胸脚は退化して小さくなる。本種はホソクビゴミムシ亜科に属するが,この亜科を科とする学者もいる。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報