ミンナフォンバルンヘルム(読み)みんなふぉんばるんへるむ(英語表記)Minna von Barnhelm

デジタル大辞泉 の解説

ミンナ‐フォン‐バルンヘルム(〈ドイツ〉Minna von Barnhelm)

レッシング戯曲七年戦争後のドイツ舞台とする5幕の喜劇。1767年初演

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミンナ・フォン・バルンヘルム
みんなふぉんばるんへるむ
Minna von Barnhelm

ドイツの劇作家レッシングによる五幕の喜劇。1767年刊、初演。七年戦争で負傷したプロイセン将校テルハイムは終戦とともに免官、そのうえ被占領国ザクセンでの人道的行為を曲解されて汚名を着る。誇り高い彼はその地で得た婚約者、美しく聡明(そうめい)な令嬢ミンナを断念するが、彼女は巧みな論法策略で彼の決意を翻さす。軍人テルハイムの名誉は事の真相を知った国王により回復されるが、彼は平穏な市民生活のなかに結婚の幸福を探ろうとする。登場人物はいずれも個性に富み、台詞(せりふ)は機知生気にあふれる。18世紀ヨーロッパの「まじめな喜劇」の傑作で、今日なおドイツ喜劇の代表作の一つ。

[南大路振一]

『井上正蔵訳『ミンナ・フォン・バルンヘルム』(『世界文学全集24』1953・河出書房)』

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百科事典マイペディア の解説

ミンナ・フォン・バルンヘルム

レッシング作の喜劇。1767年初演。七年戦争時代の庶民生活を背景に,高潔だが名誉一点張りのプロイセン将校のかたくなさが,敵方のザクセン女性ミンナの優雅才知に克服されていくさまを示す。副人物も含めて的確な性格表現に成功したドイツ喜劇の傑作。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ミンナ・フォン・バルンヘルム
Minna von Barnhelm

ドイツの劇作家 G.E.レッシングの戯曲。5幕の喜劇。 1767年初演。七年戦争後のドイツを舞台に,無実の罪で官職を追われたプロシア将校とその婚約者とを主人公とする,ドイツで初めてといわれる本格的な性格喜劇。暗い時代の政治社会に対する批判もこめられている。

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世界大百科事典(旧版)内のミンナフォンバルンヘルムの言及

【喜劇】より

…ディドロの提唱する〈まじめな喜劇comédie serieuse〉や,催涙喜劇comédie larmoyanteというジャンルがそれで,ドイツでも感傷喜劇が流行した。G.メレディスの《喜劇論On the Idea of Comedy》(1877年講演,97年出版)では,社会的な発展の遅れた国で,よい喜劇は生まれない例としてドイツを挙げているが,共感できる主人公の登場するレッシングの《ミンナ・フォン・バルンヘルム》のような喜劇は,モリエール流の喜劇とはジャンルの異なる温かい情をもったドイツ的喜劇とみるべきだろう。 17世紀のモリエールの影響はデンマークのJ.L.ホルベアなどに認められ,イタリアでは,C.ゴルドーニが,即興喜劇の伝統に固執するC.ゴッツィなどの妨害に出会いながら,文学的な性格喜劇を残した。…

※「ミンナフォンバルンヘルム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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