ドイツの劇作家レッシングによる五幕の喜劇。1767年刊、初演。七年戦争で負傷したプロイセン将校テルハイムは終戦とともに免官、そのうえ被占領国ザクセンでの人道的行為を曲解されて汚名を着る。誇り高い彼はその地で得た婚約者、美しく聡明(そうめい)な令嬢ミンナを断念するが、彼女は巧みな論法と策略で彼の決意を翻さす。軍人テルハイムの名誉は事の真相を知った国王により回復されるが、彼は平穏な市民生活のなかに結婚の幸福を探ろうとする。登場人物はいずれも個性に富み、台詞(せりふ)は機知と生気にあふれる。18世紀ヨーロッパの「まじめな喜劇」の傑作で、今日なおドイツ喜劇の代表作の一つ。
[南大路振一]
『井上正蔵訳『ミンナ・フォン・バルンヘルム』(『世界文学全集24』1953・河出書房)』
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…ディドロの提唱する〈まじめな喜劇comédie serieuse〉や,催涙喜劇comédie larmoyanteというジャンルがそれで,ドイツでも感傷喜劇が流行した。G.メレディスの《喜劇論On the Idea of Comedy》(1877年講演,97年出版)では,社会的な発展の遅れた国で,よい喜劇は生まれない例としてドイツを挙げているが,共感できる主人公の登場するレッシングの《ミンナ・フォン・バルンヘルム》のような喜劇は,モリエール流の喜劇とはジャンルの異なる温かい情をもったドイツ的喜劇とみるべきだろう。 17世紀のモリエールの影響はデンマークのJ.L.ホルベアなどに認められ,イタリアでは,C.ゴルドーニが,即興喜劇の伝統に固執するC.ゴッツィなどの妨害に出会いながら,文学的な性格喜劇を残した。…
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