日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーファ」の意味・わかりやすい解説
クーファ
くーふぁ
Kūfa
イラク中部、カルバラー州にある町。アラビア語で「円い砂丘」を意味する。639年、第2代カリフであるウマル1世の命によりイラク総督サード・ブン・アビー・ワッカースが、ユーフラテス川西岸、現在のクーファ近郊に建設し、イスラム第二の軍事都市であった。正統カリフ時代、ウマイヤ朝時代は、北東地域へのイスラムの拡大の軍事基地として、またバスラとともにイラクの政治、経済、文化的中心都市として栄えた。第4代カリフ、アリーの牙城(がじょう)であったため、シーア派の反ウマイヤ朝運動の根拠地でもあった。アッバース朝に入り、首都バグダードが建設されると、政治的、経済的重要性が失われたが、イスラム諸学の中心地としてバスラと覇を競った。
[花田宇秋]