クーファ(読み)くーふぁ(英語表記)Kūfa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クーファ」の意味・わかりやすい解説

クーファ
くーふぁ
Kūfa

イラク中部、カルバラー州にある町。アラビア語で「円い砂丘」を意味する。639年、第2代カリフであるウマル1世の命によりイラク総督サード・ブン・アビー・ワッカースが、ユーフラテス川西岸、現在のクーファ近郊に建設し、イスラム第二の軍事都市であった。正統カリフ時代、ウマイヤ朝時代は、北東地域へのイスラムの拡大の軍事基地として、またバスラとともにイラクの政治、経済、文化的中心都市として栄えた。第4代カリフ、アリー牙城(がじょう)であったため、シーア派の反ウマイヤ朝運動の根拠地でもあった。アッバース朝に入り、首都バグダードが建設されると、政治的、経済的重要性が失われたが、イスラム諸学の中心地としてバスラと覇を競った。

[花田宇秋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クーファ」の意味・わかりやすい解説

クーファ
al-Kūfa

イラク中央部の古都。ユーフラテス川支流のシャットヒンディーヤ川に面し,バグダードの南約 130kmにある。 638年アラブ人により,イラクの軍事的拠点として建設され,第4代正統カリフであるアリー (在位 656~661) の治世に,その首都となった。以後 10世紀まで,イスラム世界における政治,軍事,教育,文化の中心地の一つとして繁栄。 10世紀前半に何回かカルマト派軍勢攻撃,破壊され,急速に衰退した。

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