メッサリナ(読み)めっさりな(英語表記)Valeria Messalina

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メッサリナ」の意味・わかりやすい解説

メッサリナ
めっさりな
Valeria Messalina
(25ころ―48)

古代ローマ皇帝クラウディウス1世の妻。最初は貞節な夫婦生活を営んでいたが、しだいに色情狂徴候を現し、ローマ帝国宮廷で放蕩(ほうとう)と残虐をほしいままにするようになった。クラウディウスに気に入りの寵臣(ちょうしん)ばかりを近づけ、これに反対する者、自分の地位を危うくする者を次々に暗殺させた。たとえば前皇帝であるカリグラの姉ユリアは、その美貌(びぼう)のために犠牲にされた。一方、執政官シリウスと密通し、クラウディウスの地位と帝国の安泰を大きく揺り動かした。そのため、クラウディウスによって暗殺された。彼女の息子はブリタニクス、娘はネロの妻オクタビアである。

[榊原晃三]

『ギボン著、中野好夫訳『ローマ帝国衰亡史Ⅱ』(1978・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メッサリナ」の意味・わかりやすい解説

メッサリナ
Messallina(Messalina), Valeria

[生]22
[没]48
ローマ皇帝クラウディウス1世の3度目の妃。オクタウィア (のちのネロ帝の妃) ,ブリタニクスの母。側近とともに夫に働きかけ,反対派の元老院議員を処刑させ,恐怖政治一翼をになったが,ナルキッスス策動によりガイウス・シリウスなる愛人との陰謀を疑われて処刑された。

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