改訂新版 世界大百科事典 「広域中心都市」の意味・わかりやすい解説
広域中心都市 (こういきちゅうしんとし)
府県の領域を越えた〈地方〉をそのヒンターランド(後背地)としている都市。大規模拠点都市,地方中核都市などの呼称もある。札幌,仙台,広島,福岡などが典型的な例で,高松や金沢は準広域中心都市である。第2次大戦前にはこうした都市の発達はそれほど明瞭ではなかったが,戦後,その存在が顕著となった。いずれも地方の中心として人口100万以上のメトロポリスであり,開発の拠点となっている。札幌や福岡などに見られるように,中央官庁の出先機関や銀行や商社の地方統轄中枢の支店が多く置かれ,いわゆる支店経済の町であるが,その地方における中枢管理機能,すなわち,資本,権力,情報等の大量集積の場であり,中央の代替機関としての役割をも果たしている。都市機能の点で,政治・経済・金融などの中枢機能のほかに,領事館など国際的な機能も少しは存在する。また,中央の文化が直接現出している点にも特色があるが,北海道文化,東北文化,九州文化などオリジナリティをもった文化の中心でもある。都市構造の点からみると,オフィス街,都心商店街,歓楽街,問屋街などの区別がはっきりしている。都市交通は大都市型で,電車,地下鉄が走り,多くは国内・国際空港をもつ。また単身赴任者が多い。
執筆者:北川 建次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報