モクテスマ(読み)もくてすま(その他表記)Moctezuma Ⅱ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モクテスマ」の意味・わかりやすい解説

モクテスマ(2世)
もくてすま
Moctezuma Ⅱ
(1466―1520)

アステカ王(在位1502~20)。アクサヤカトルの子。アステカの軍神ウィツィロポチトリの神官であったが、1502年伯父であるアウィツォトル王の死により、後継王に推挙される。メキシコ中央高原での覇権を確立するため、トラスカラ人の制圧を幾度も試みたが、そのたびに頑強な抵抗にあい、企ては失敗した。彼は、1519年4月、ベラクルスに上陸し内陸へと進むスペイン人征服者コルテス一行の動きを察知した。そのときモクテスマ2世はコルテスを、アステカ人がその後継者と自認するトルテカ人の王で、かつて他の部族との戦いに敗れて東の海に去ったケツァルコアトル再来と信じた。そのためコルテス一行に攻撃をしかけることなく、同年11月8日テノチティトランに迎え入れた結果、コルテスに軟禁され、アステカの都を開け渡すことになった。これに不満を抱き、反撃に出たアステカ人の攻撃が始まるなかで死亡した(6月30日)。その死因については、アステカ人が投げ付けた石が頭に命中したためとされるが、別にコルテスによって殺害されたとする説もある。

[青木康征]


モクテスマ(1世)
もくてすま
Moctezuma Ⅰ
(?―1469)

メキシコの古代に栄えたアステカ王国の基礎を築いた第5代の王(在位1440~69)。モテクソマMotecuzomaまたはモンテスマMontezumaともいわれる(いずれもナワトル語のスペイン語表記)。「天の射手」とよばれる軍人王で、東は現在のベラクルス、南はテワンテペック地峡まで領土を拡張し、また首都テノチティトラン(現メキシコ市)の街路運河神殿などの大改造を行い、王国を確固たるものとした。

野田 隆]

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百科事典マイペディア 「モクテスマ」の意味・わかりやすい解説

モクテスマ[2世]【モクテスマ】

アステカ王国の第9代皇帝(在位1502年―1520年)。コルテスらが侵入した際,モクテスマは彼らを伝説の神ケツァルコアトルの再来とみなして抵抗せずに捕らわれ,殺された。コルテスらが奪ったモクテスマの財宝は船が沈んだため,海底に没したと伝えられる。

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