ものか(読み)モノカ

デジタル大辞泉 「ものか」の意味・読み・例文・類語

もの‐か[連語]

[連語]形式名詞「もの」+係助詞「か」》
意外なことに感動したり、驚いたりする意を表す。「なるほどそういうものか
「世の中は数なき―」〈・三九六三〉
反語の意を表す。
「かくけしからぬ心ばへはつかふ―」〈帚木

ものか[終助]

[終助]連語ものか1」から》連体形に付く。きっぱりと否定する意を表す。「君などに負けるものか」「二度と来るものか
[補説]くだけた話しことばでは「もんか」ともなるが、ともに改まった場や、目上の人に対しては用いない。ていねいに言うときは「ものですか」となる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ものか」の意味・読み・例文・類語

もの‐か

  1. 〘 連語 〙 ( 名詞「もの」に助詞「か」の付いたもの ) 文末で活用語の連体形を受ける。→もんか
  2. 直面した事態が意外である、という驚き・詠嘆を表わす。
    1. [初出の実例]「わたつみは くすしき物香(ものか)」(出典:万葉集(8C後)三・三八八)
    2. 「重六いでことて、うたせ給へりけるに、ただ一度にいでくるものか」(出典:大鏡(12C前)三)
  3. 反語を表わす。
    1. (イ) ことがらを否定する。
      1. [初出の実例]「はじめよりながく言ひつつ頼めずはかかる思ひにあはまし物歟(ものか)」(出典:万葉集(8C後)四・六二〇)
      2. 「あいつらが何をしっ居(て)るものか」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)
      3. 「その手に乗ってたまるものか」(出典:正義と微笑(1942)〈太宰治〉)
    2. (ロ) 「…ことがあるものか」「…ことをするものか」「…ものか」などの形で、制止・禁止を表わす。そういうことがあってはいけない。そういうことをしてはいけない。
      1. [初出の実例]「かかる心はあるべきものか。〈略〉けしからず人に点つかるべき振舞はせじと思ふものを」(出典:源氏物語(1001‐18頃)若菜下)
  4. 「…ものかどうか」の形で用いる。
    1. (イ) 形容詞・形容動詞の連体形を受けて、それが本当に…であるかどうか、の意を表わす。「本当に安全なものかどうか、ちょっと心配がある」
    2. (ロ) 「…たものかどうか」の形で動詞を受けて、…すべきであるかどうか、の意を表わす。
      1. [初出の実例]「伸子にしゃべったものかどうか、心を決めかねていたのである」(出典:女社長に乾杯!(1980‐81)〈赤川次郎〉新社長第一日)
  5. 「…ないものか」の形で動詞を受けて、そのことの実現を希望することを表わす。…たいものだ。…ないだろうか。
    1. [初出の実例]「古代の人に見るやうなあの直(す)ぐな心は、もう一度この世に求められないものか」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部)

ものかの語誌

( 1 )「か」を係助詞の文末用法とする説もあるが、のような詠嘆的用法の存在から終助詞と考えてよいと思われる。
( 2 )古典語では連体形だけで体言相当句を構成できるが、形式体言「もの」を付加することで事実性をより強く示すことになる。
( 3 )現代語では、強い否定や固い決意を述べる時に主として話しことばで用い、「もんか」の形をとることもある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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