活字を自動的に鋳造し並べて組む機械(いわゆる自動鋳植機)の一種。1885年にアメリカのランストンTolbert Lanstonが発明した機械で,鋳植機の一種であるライノタイプが1行分ずつ鋳造するのに対し,1字ずつ鋳造し植字して版を組む機構であるので,モノ(1個)タイプ(活字)の意をとり商品名とした。これはいわゆる欧文モノタイプであるが,日本では邦文モノタイプと称して和文を鋳造し植字する機械があるが,単にモノタイプということもある。いずれも,活字を1本ずつ拾って組む手組みに比べ,高能率で活字組版を作ることができ,活版工程を機械化するうえで重視されているが,文字組版の自動化としてはしだいに電算植字法に移行しつつある。
キーボード部と鋳植部の2部分から成る。キーボード部は文字あるいは符号を印したキー約300個があり,原稿にしたがってキーを押すと紙テープ(幅43/8インチ)に穴があく。この穴の数と位置は一つ一つの文字符号,文字と文字の間隔を表している。鋳植機はテープの指示によって225個の母型のうち所要のものを鋳造部に運び,活字が鋳造され,組版部に送られて指定の体裁の版に組まれる。このように操作者はテープに穴をあけるだけで活字組版を自動的に作ることができ,また組版は1本1本の活字の集合であるから校正時におけるぬきさしも簡単にできる。また行末をそろえる(ジャスティフィケーション)機構もある。組版能力は活字で毎分140~160本である。
1920年(大正9)杉本京太の発明した立形鋳植機が最初のものである。これは活字鋳造用母型を板面に配列したものを鋳造装置の前面におき,所要の文字を選んでこの母型板を動かし鋳口にあてて鋳造し,できた活字を機械的に並べるものであった。その後多くの人々により次第に改良が加えられ,とくに第2次世界大戦後における機構改良の進歩はめざましく,新聞社,印刷所で広く用いられるようになった。大別すると手動式と自動式があるが,手動式はあまり利用されていない。自動式はキーボードと鋳植機とから成り,原稿により文字を印したキーを打つとテープに穴があけられる。この穴の配列は文字によって違っている。このテープを鋳植機にかけると機械的な選択装置によって鋳植機の母型庫を駆動するか,あるいは母型庫から所要の母型をとり出し鋳口まで移動させる。鋳造が行われ,できた活字は組版部まで運ばれて1行ずつ並べられる。鋳植能率は毎分110字ほどである。この紙テープは欧文モノタイプのものと違い通信用と同種のものであるから,新聞社では本社・支社間の遠隔操作により同時に同じ組版を各所で作ることができ,また,コンピューターを利用してテープで記事を編集することもできるので,ますます能率化される傾向にある。しかし,大勢は活字組版(いわゆるホットタイプ)からコールドタイプの写真植字へ移行している。
執筆者:山本 隆太郎
版画の一技法。版画は本来一つの原版から複数の版画を写し取ることができる複数芸術であるが,その中で,1回しか刷ることのできない版画とその技法をモノタイプと呼ぶ。しかし実際には数回刷る場合もある。金属,板,紙などの上にインキ,絵具などで直接描き,乾かないうちに台材(紙,布など)に写し取らせる。即興的な筆触がなまなましく再現されるので,B.カスティリオーネ,W.ブレーク,E.ドガなどが好んで制作した。とくに現代では版画というよりも造形的表現手段の一つとなっている。
1点制作という点で,モノタイプを広義にとらえれば,H.セーヘルスの,1点ずつ版や色を変えた色刷版画や,シュルレアリストの用いたフロッタージュ,デカルコマニー,あるいは版画に網,布片,紐などを置いて,それを台材に写し取らせる方法(例えば恩地孝四郎の作品)や墨流しもモノタイプといえる。
執筆者:坂本 満
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…活字を自動的に選び,鋳造し,版に組む機械。和文鋳植機と欧文鋳植機とに分けられ,さらに鋳造される活字が1個ずつのモノタイプMonotypeと,1行が一塊となって鋳造されるライノタイプLinotypeとに分けられる。活版は活字の手拾い(文選)と組み(植字)の手作業に依存しているので,活字を鋳込みながら組んでいく機械が要求されていた。…
…活字を自動的に鋳造し並べて組む機械(いわゆる自動鋳植機)の一種。1885年にアメリカのランストンTolbert Lanstonが発明した機械で,鋳植機の一種であるライノタイプが1行分ずつ鋳造するのに対し,1字ずつ鋳造し植字して版を組む機構であるので,モノ(1個)タイプ(活字)の意をとり商品名とした。これはいわゆる欧文モノタイプであるが,日本では邦文モノタイプと称して和文を鋳造し植字する機械があるが,単にモノタイプということもある。…
…そこから得た技法は,彼の作品に創意に富んだ,明暗法による劇的な表現を可能にしたと言える。またモノタイプの真の発明者とされる。主題は宗教・神話のほか静物・風俗など幅広く手がけた。…
…活字を自動的に選び,鋳造し,版に組む機械。和文鋳植機と欧文鋳植機とに分けられ,さらに鋳造される活字が1個ずつのモノタイプMonotypeと,1行が一塊となって鋳造されるライノタイプLinotypeとに分けられる。活版は活字の手拾い(文選)と組み(植字)の手作業に依存しているので,活字を鋳込みながら組んでいく機械が要求されていた。…
※「モノタイプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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