日本大百科全書(ニッポニカ) 「セーヘルス」の意味・わかりやすい解説
セーヘルス
せーへるす
Herkules Pietersz Seghers
(1589/90―1639以前)
オランダの画家、版画家。ハーレムに生まれる。風景画家コニンクスローGillis van Coninxloo(1544―1607)の弟子。師に倣って地平線の低い平坦(へいたん)で遠望をもつオランダの風景を、繊細で深いニュアンスのある色彩を用いて描いたほか、山岳をモチーフとした空想的な風景画に特色を示した。とくに有名なのは約60点に上る銅版画による幻想的な風景画で、これらはレンブラントに刺激を与えたといわれる。版画では、銅版画を布の上に色刷りにする方法や、アクアチント技法を初めて試みたとされている。しかしその風変わりな画風と技法上の実験は同時代には理解されず、貧困のうちにハーグで没したと伝えられている。
[野村太郎]