家庭医学館 「モルキオ病」の解説
もるきおびょう【モルキオ病 Morquio Disease】
モルキオ病は、遺伝性の病気の1つです。
人の体内には、グリコサミノグリカン(ムコ多糖類(たとうるい))という物質があって、さまざまな組織に存在しています。
この物質は、体内での生産と分解のバランスがとれていれば問題はありません。
しかし、モルキオ病の場合では、グリコサミノグリカンを分解する酵素(こうそ)(ガラクトサミン6硫酸(りゅうさん)スルファターゼと呼ばれる酵素)が生まれつき欠けています。
そのため、骨格や内臓に、異常にグリコサミノグリカンが蓄積されて、いろいろな障害がおこってくるのです。
[症状]
関節がゆるく、環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)などの頸椎(けいつい)の病変がおこるため、脊髄(せきずい)の神経が圧迫されて神経症状が出たり、股関節(こかんせつ)の障害がおこったりします。
知能障害はなく、また、生命にも別条はありません。
しかし、いわゆる低身長症(ていしんちょうしょう)の症状が著しく、体型はくびと胴(どう)が短くなり、X脚(エックスきゃく)(「X脚」)となります。
骨格の異常としては、背中が曲がったり、鳩胸(はとむね)(「鳩胸」)や扁平足(へんぺいそく)(「扁平足」)がおこりやすくなります。
その他の異常としては、目の角膜(かくまく)が濁って視力が低下したり、心臓が大きくなったりすることがあります。
[検査と診断]
尿中のグリコサミノグリカンの成分を調べることで、だいたいの予想はつきますが、正確な診断をするには、酵素の活性を調べる検査が必要です。
[治療]
この病気の根本的な治療法はありません。
骨格の変形を予防したり、矯正(きょうせい)するために装具を使用したりします。