東アフリカ,ケニア南東部の港市。東アフリカ随一の港をもち,人口76万7454(2003)はケニア第2位。インド洋のモンバサ島と大陸とにまたがる。島の西の築堤橋が首都ナイロビを経てウガンダに至る鉄道と主要国道で本土と結んでいる。北のニェリ橋はマリンディ,ラムに,南はリコニ・フェリーでタンザニアに連なっている。モンバサは11世紀ころから,インド洋交易の主要な沿岸都市としてはっきりした形を現す。14世紀にイブン・バットゥータが訪れた時,すでに大きな町で,住民はイスラムに改宗し多くのモスクがあった。15世紀末ポルトガルによる東インド航路が開けると,モンバサはその支配に抵抗したが1505年に略奪され,町は焼かれた。93-95年ポルトガルは港の出口に堅固な砦フォート・ジーザスを築いて,支配を確実なものにした。1631年の有名なユースフ・ブン・アルハサンの砦奪回など,17~18世紀には砦は何回も奪合いを繰り返した。18世紀中期に,オマーン・アラブに任命されたモンバサの太守ムハンマド・アルマズルイがポルトガル勢力を南のモザンビークに駆逐し,沿岸一帯にアルマズルイの支配権を確立した。19世紀初めに一時イギリスが支配するが,1828年にザンジバルを首都とするスルタン国をつくったオマーン・アラブのサイイド・サイードが勢力を拡げ,30年代後半モンバサもその支配下に入った。90年イギリスはザンジバルのスルタンを傀儡化して,現在のタンザニア以北の沿岸部一帯の支配権を買収し,95年には東アフリカ保護領としてモンバサに首都をおいた。96年にこの地からウガンダまでの鉄道建設が始まり1901年にビクトリア湖畔のキスム,31年にカンパラまで開通した。主都は1905年に内陸の計画都市ナイロビに移されたが,東アフリカの玄関口としてモンバサは大きな発展をとげた。美しいアラブ風の白壁の家が建ち並び,アラブ,インド人の何世紀も続く商人が多い。かつてのポルトガル支配のシンボル,フォート・ジーザスは博物館になっている。
執筆者:日野 舜也
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アフリカ中東部、ケニア南東部の港湾都市。人口68万5000(2001推計)、首都ナイロビに次ぐ同国第二の都市である。インド洋上の小島モンバサ島(面積13平方キロメートル)と本土にまたがり、橋と堤防で結ばれている。東アフリカでも有数の港湾をもち、インド、東アジア、ヨーロッパ、アメリカとを結ぶ定期船が就航する。またナイロビを経由してさらにウガンダに通じる鉄道の起点でもあり、国際空港も所在する。工業は石油精製や化学工業などが行われている。
紀元1世紀ごろ、東アフリカ海岸部とアラビア半島との交易に携わるアラブ人、ペルシア人がここに港を築き、季節風を利用してダウ(帆船)で活動した。15世紀末バスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見を契機として、ポルトガルがこの地に進出した。17~18世紀、奪回を試みるアラブ人とポルトガルとの間で、何回も争奪が繰り返されたのち、18世紀中期、ポルトガルは追い払われた。19世紀後半からはイギリスの支配下に入り、1905年までイギリス領東アフリカの行政中心地であった。市内にはアフリカ人に混じってアラブ人が多数居住し、全住民の40%がイスラム教徒で、各所にモスクがある。ほかに、イギリス植民地時代初期、鉄道建設のため導入された労働者の子孫などインド人も多く、ヒンドゥー教寺院も点在する。歴史的たたずまいを残した旧市街は、モンバサ島の東側にある。港の近くには16世紀末ポルトガル人が建設したフォート・ジーザスという砦(とりで)の遺跡があり、国立博物館となっている。島の西側には近代的な新港キリンディニがあり、工業地区などを含む新市街が、これを取り囲むように広がっている。島の南北の海岸はホテルが林立するリゾート地で、本土側には島側から住宅が延びている。
[赤阪 賢]
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東アフリカ,ケニア第2の都市。インド洋の港市でスワヒリ地方の中心。16世紀末ポルトガルがジーザス砦を建造。18世紀半ば以降オマーンのマズルイ家,ザンジバルの支配をへて,イギリスの植民地期にウガンダ鉄道の起点となる。
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…インド洋岸の海岸平野は,急崖で画される何段かの隆起サンゴ礁からなっている。港湾都市モンバサは深い水路で本土と分かれた島に立地するが,この水路は氷河時代の海面低下期に下刻された谷が沈水してできたものと解されている。ケニアの最も顕著な地形は,国の中央部や西寄りを南北に貫く東リフト・バレー(アフリカ大地溝帯の一部)である。…
※「モンバサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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