ヤマモガシ(読み)やまもがし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマモガシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマモガシ
やまもがし
[学] Helicia cochinchinensis Lour.

ヤマモガシ科(APG分類:ヤマモガシ科)の常緑高木。高さ約10メートル。葉は倒楕円(とうだえん)状または倒卵状披針(ひしん)形で長さ5~15センチメートル、幅1.5~4センチメートル、全縁または縁(へり)の上半部にまばらな鋸歯(きょし)がある。7~9月、葉腋(ようえき)に長さ10~15センチメートルの総状花序をつくり、花柄の先に2個ずつ白色花を密に開く。花被片(かひへん)は4枚、つぼみのときは互いに接して細い管状、開花すると反転し、内側上部に各1本の雄しべをつける。液果は楕円形で長さ約1センチメートル、黒色に熟す。常緑樹林内に生え、中部地方南部以西の本州から四国、九州、沖縄、および中国、インドシナに分布する。名は、全体がモガシ(ホルトノキ科のホルトノキの一地方名)に似ており、山地に生えることに由来する。

[古澤潔夫 2020年4月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤマモガシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマモガシ
Helicia cochinchinensis

ヤマモガシ科の常緑の小高木。カマノキともいう。東南アジアの暖温帯に広く分布し,日本でも西日本の海岸付近に自生する。幹は高さ 5m内外で直立し,枝はよく分枝し,紫褐色でこんもりとした茂みをつくる。葉は互生して柄があり,革質,長楕円形で先は急にとがる。8~10月に,葉腋に総状花序を出し,短柄のある花を多数つける。花は2個ずつ1枚の包葉の内側につき花被片は白色で4枚,その上部内側におしべの葯 (やく) 4個が直接つき,花糸はない。液果は堅く,楕円形で黒熟する。この科の植物は南アフリカオーストラリアに分布の主体があって,それぞれ多くの種があり,両地域のフロラ (植物相) の特徴をなしている。

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