マカダミア(その他表記)macadamia
macadamia nut tree
Macadamia ternifolia F.Muell.

改訂新版 世界大百科事典 「マカダミア」の意味・わかりやすい解説

マカダミア
macadamia
macadamia nut tree
Macadamia ternifolia F.Muell.

オーストラリア東部原産のヤマモガシ科の中・高木性常緑果樹クイーンズランドナッツQueensland nutともいうが,オーストラリアではソテツ科のオニアザミ属Macrozamia植物の種子クイーンズランドナッツという。高さ15mにもなる高木で,葉は革質,鋸歯を有して3~4枚を輪生する。花は総状,果実は丸く,球形の種子を含む。亜熱帯果樹であるが,比較的寒さに強く,生育限界は-2℃前後である。

 オーストラリアでは観賞用あるいは緑陰樹用として長らく利用されていたが,近年になって種子の殻のうすい系統が選抜され,栽培法や繁殖法の確立に伴って果樹としての栽培が始まった。ハワイへは1892年に導入されて主要な生産地となった。このほかアメリカ南部,西インド諸島,南アフリカ,地中海沿岸諸国で栽培されている。仁を塩いりしたものは香気と甘みがあり,デザートやビールのつまみあるいは細切りしてアイスクリームに混入したりして菓子原料に用いられる。脂肪に富み,その油はサラダ油としたり,高級セッケンの原料に利用される。木は観賞用として街路樹,風致樹などに用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マカダミア」の意味・わかりやすい解説

マカダミア
まかだみあ
[学] Macadamia integrifolia Maiden et Betche

ヤマモガシ科(APG分類:ヤマモガシ科)マカダミア属の果樹。本属には3種あり、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズとクイーンズランドに自生する。本種は自生地の名をつけ、クイーンズランドナッツともよばれる。常緑高木で高さ10~15メートル。葉は革質で長さ10~25センチメートル、全縁または鋸歯(きょし)がある。花は長さ20センチメートルの総状花序につき、紅色で花径2.5センチメートル。果実は球状で堅く、径2~2.5センチメートル、表面は平滑である。種子は白色芳香がある。この種子を塩炒(い)りしたものが市販マカダミアナッツで、ハワイがおもな生産地となっている。ナッツ100グラム中には720キロカロリーのエネルギーがあり、タンパク質8.3グラム、脂質76.8グラム、糖質10.2グラムが含まれる。またカルシウム15ミリグラム、リン550ミリグラム、鉄6.2ミリグラム、ナトリウム4ミリグラム、カリウム690ミリグラムで無機質に富み、そのほかビタミンB10.21ミリグラム、ナイアシン2.1ミリグラムも含まれる。かむととろけるほどで、きめが細かく、美味である。日本でも栽培可能ではあるが、浅根性のため風に弱く、台風の多い日本での経済栽培はない。

[飯塚宗夫 2020年4月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マカダミア」の意味・わかりやすい解説

マカダミア
Macadamia ternifolia; Queensland nut; macadamia

ヤマモガシ科の常緑高木。オーストラリア東南部原産。高さ 10~18m。葉は互生し,長楕円形または披針形で長さ 20~30cm,暗緑色で光沢がある。花は白色で,長さ約 30cmの穂状花序につく。果実は球形で径 25mm内外,黒褐色に熟し,内部に1~2個の種子がある。種子は球形または半球形で茶褐色,径 15mm内外,脂肪分に富み最も美味なナッツの1つである。ハワイ島やキューバなどで大規模に栽培されている。果樹,庭園樹,並木とされ,材は紅色で美しく,家具材に用いられる。

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百科事典マイペディア 「マカダミア」の意味・わかりやすい解説

マカダミア

ヤマモガシ科の常緑高木。樹高は約10mになり直立する。オーストラリア原産。19世紀末に殻の薄い系統が選抜されてから栽培化がすすんだ。現在ハワイ,アメリカ南部,ブラジル,南アフリカ,地中海沿岸諸国で栽培されている。果実はウメの実大で,熟すと裂開する。果実内部の殻はきわめてかたい。殻内の仁は球形白色で脂肪を約70%含み栄養価が高い。この仁を食用として利用する。生食,製菓原料のほか,搾油することもある。木は観賞用として街路樹,風致樹などに用いる。

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