ヤングハズバンド(読み)やんぐはずばんど(その他表記)Sir Francis Edward Younghusband

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤングハズバンド」の意味・わかりやすい解説

ヤングハズバンド
やんぐはずばんど
Sir Francis Edward Younghusband
(1863―1942)

イギリス軍人探検家、宗教家。陸軍少将の次男としてインドに生まれる。イギリスで教育を受け、陸軍士官学校を卒業、軍人として1882年インドに赴任した。その在任中に満州(中国東北)、蒙古(もうこ)(モンゴル)、新疆(しんきょう)省、ヒマラヤ山脈経由の探検を敢行し、以降イギリスのインド経営の辺境への拡大に功績があった。とくに、1903~1904年チベットラサに軍を率いて侵入、征圧しラサ条約締結したことは、この地におけるイギリスの優位確立するものであった。イギリスに帰国ののちは、王立地理学会会長やエベレスト委員会議長などの名誉職を歴任した。晩年には神秘的、哲学的な活動、著作にも手を染めた。故国ドーセット県で没す。

[堀 直]

『石一郎訳『カラコルムを越えて』(1981・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤングハズバンド」の意味・わかりやすい解説

ヤングハズバンド
Younghusband, Sir Francis Edward

[生]1863.5.31. ムレー
[没]1942.7.31. ドーセット
インド生れのイギリスの探検家,軍人。本国の士官学校卒業後,インドに在勤。 1886~87年満州 (現在の中国東北地方) からモンゴル,新疆を経て,カラコルムを横断する大探検を行なった。 89年シムラの外務局からフンザに派遣され,パミール地区でロシアの工作を内偵した。 93年チトラルに駐在してから『タイムズ』紙と結び,南アフリカでジャーナリズム活動に入り,のちインドに戻った。 1903~04年インド総督 G.N.カーゾンの命により,軍を率いてチベットに進駐。ラサ条約を結んで,チベットを一時的にイギリスに従属させた。その他多くの地域を探検,王立地理学会会長をもつとめた。主著『インドとチベット』 India and Tibet (1910) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヤングハズバンド」の意味・わかりやすい解説

ヤングハズバンド
Francis Edward Younghusband
生没年:1863-1942

イギリスの軍人,探検家。インド勤務の軍人の家庭に育ち,イギリスで教育を受け,陸軍士官学校卒業後,1882年インドへ赴任した。86-88年,満州,モンゴル,新疆を踏査。1903-04年,チベットに対するロシアの影響力を排除してイギリスの優位を確保するため,軍を率いてラサに進駐し,ここにイギリス代表部を常駐させる端緒を開いた。主著に《India and Tibet》(1910)がある。
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百科事典マイペディア 「ヤングハズバンド」の意味・わかりやすい解説

ヤングハズバンド

英国の軍人,探検家。インドで生まれ,満州,モンゴル,新疆,カシミールを探検。1903年武装使節団の隊長としてチベットに向かい,1904年ダライ・ラマと条約を締結,外交上の優位を確立。のち英国王立地理学会会長。著書多数。

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世界大百科事典(旧版)内のヤングハズバンドの言及

【エベレスト[山]】より

…また,アルパイン・クラブ(イギリス山岳会)会長だったデントは〈エベレストは登りうるか〉という文章を92年に発表している。ブルース,ヤングハズバンド,インド総督カーゾン,チベットへ密入国したノエル大尉など多くのイギリス人が政治,外交,軍事などさまざまな立場でエベレストにかかわった。1907年アルパイン・クラブ創立50周年記念事業にエベレスト登山が企画され,具体的な動きが始まった。…

【チベット・インド条約】より

…イギリスはシッキム条約(1890)によりチベット進出へ足がかりを得たが,チベット側の強硬な姿勢で条約は円滑に運用されず,一方ロシアも盛んにチベットへ接近を試みていた。このような状況に対しイギリス(とくにインド政庁)は危機感を深め,ヤングハズバンドを送りラサへ進軍させた。この結果1904年チベット側とチベット・インド条約を結び,チベットをその勢力範囲に組み込んだ。…

※「ヤングハズバンド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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