通常の地震よりもプレート(岩板)の境界や断層面がゆっくりとした速度でずれて起こる地震。大きな揺れをもたらさない。房総半島沖や豊後水道周辺など各地で報告がある。ゆっくり地震が起きた部分はひずみが減るが、プレートや地殻は広範囲でつながっているため、別の場所でひずみを蓄積させる原因ともなる。東日本大震災では、プレートの深い部分でゆっくり地震が起きて、浅い部分でひずみがたまり、巨大地震につながったとされる。
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地震動の周期が通常の同規模の地震に比べてはるかに長い地震。低周波微動や、さらに周期の長い超低周波地震、地震動を伴わずにゆっくりしたすべりが続くスロースリップの総称。スロー地震ということもある。沈み込み帯での大地震の震源域は30キロメートルよりも浅いところにあるが、多くのゆっくり地震はこの大地震の震源域のすぐ下のプレート境界でおきている。低周波微動とは、P波やS波が判然としないきわめて微弱な震動を継続的に発生するゆっくりとした地震であり、活動継続時間は数時間から数週間に及ぶことがある。超低周波地震は、これよりもっと周期の長いゆっくりとした地震である。スロースリップとは、地震波を放射しないさらにゆっくりとしたすべりのことをいい、継続時間が数日のものを短期的スロースリップ、数か月から数年に及ぶものを長期的スロースリップとよぶ。通常の地震の際のずれの速度は、毎秒0.5~1メートル程度であるが、スロースリップについてのずれの速度は、活動継続期間全体で平均して、1年間で数センチメートルから数十センチメートル程度である。短期的スロースリップと低周波微動は、時間的・空間的に同期して発生することも多い。また、短期的スロースリップと低周波微動は、潮汐(ちょうせき)変化や他の地震により放射された表面波により誘発されることもある。これは、これらの現象が、わずかな応力変化に対して非常に敏感であることを示唆している。
ゆっくり地震の発生する場所周辺は、圧力の高い流体の存在が指摘されており、発生への関与が疑われている。
[山下輝夫]
(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)
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