檸檬(読み)レモン(英語表記)lemon

翻訳|lemon

デジタル大辞泉 「檸檬」の意味・読み・例文・類語

レモン(lemon)

ミカン科の常緑低木。また、その実。茎・枝にとげが多く、葉は長卵形で、翼はない。7、8月ごろ、内面が白く外面が紫色の花を開く。実は長卵形で両端がとがり、黄色に熟す。酸味が強く、ビタミンCに富み、ジュースや料理に用いる。インドの原産で、現在はカリフォルニア南部・シチリア島主産地日本には明治初期に渡来。 秋》
(米語で)欠陥品。欠陥車。
[補説]1は「檸檬」とも書く。
書名別項。→檸檬

レモン【檸檬】[書名]

梶井基次郎短編小説。大正14年(1925)、同人誌「青空」の創刊号に発表した処女作。昭和6年(1931)、同名の作品集に収録。→檸檬忌2
俳句雑誌。昭和37年(1962)創刊多田裕計主宰。同人山口いさを、高橋竜など。

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共同通信ニュース用語解説 「檸檬」の解説

「檸檬」

檸檬れもん梶井基次郎かじい・もとじろうの短編小説で、青春期鬱屈うっくつした心情を描いた傑作として知られる。京都で友人下宿転々としている主人公はある日、八百屋レモンを買う。その後訪ねた書店で、積まれた本の山の上にレモンを置いて去り、それが爆弾であることを夢想する。

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精選版 日本国語大辞典 「檸檬」の意味・読み・例文・類語

レモン【檸檬】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] lemon ) ミカン科の常緑低木。インド原産で、果樹として広く栽植される。高さ約三メートル。枝に短いとげが多い。葉はやや菱形で厚く縁に鈍鋸歯(きょし)がある。一年中葉腋に白い五弁花が咲く。果実は紡錘形で乳頭があり黄色に熟す。果肉は芳香が高く、クエン酸とビタミンCを多量に含み酸味が強い。果汁から清涼飲料水をつくり、果皮は調味料にされる。主産地はイタリアのシチリア・マルス島および北アメリカのカリフォルニア地方。《 季語・秋 》 〔薬品名彙(1873)〕
  2. [ 2 ] ( 檸檬 ) 小説。梶井基次郎作。大正一四年(一九二五)発表。不安と虚無感を抱いて彷徨する青年が一個のレモンを得て安らぎを感じ、幻想によって現実に挑戦する心理を繊細な感覚で描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「檸檬」の意味・わかりやすい解説

檸檬
れもん

梶井基次郎(かじいもとじろう)の短編小説。作者の処女作で、同人雑誌『青空』創刊号(1925年1月)に発表。主人公である「私」は、正体不明の憂鬱(ゆううつ)にとらえられて、京都の町を放浪していたが、ある日、果物屋で1個のレモンを手に入れ、その色、形、重さ、手ざわりを確かめることで幸福感を覚える。普段は避けていた丸善書店へも気楽に入れた。しかし丸善で画集を見ているうちに、「私」はふたたび憂鬱になり始める。そこで「私」は画集を積み上げ、その上にレモンを置いて充実感を覚える。さらに「私」はレモンと画集をそのままにして店を出、レモンの爆発というユーモラスな空想を抱く。青春の不安と、その裏に潜む調和への願望とを描き出した佳作である。

[吉田凞生]

『『檸檬』(岩波文庫・旺文社文庫・新潮文庫)』『『文芸読本 梶井基次郎』(1977・河出書房新社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「檸檬」の意味・わかりやすい解説

檸檬
れもん

梶井基次郎の短編小説。 1925年発表。京都の町をあてどなくさまよう肺患の学生が,ふと心ひかれたレモンを洋書店の画集の上に乗せてみる。爆弾を仕掛けたという空想のなかに逃避する主人公の姿を通して,青春期の不安と退廃を緊張感に満ちた的確な文体で表現した作。作者の処女作であり,代表作でもある。

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とっさの日本語便利帳 「檸檬」の解説

『檸檬』

梶井基次郎
えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦燥と云おうか、嫌悪と云おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。\(一九二五)

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デジタル大辞泉プラス 「檸檬」の解説

檸檬〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。歌と作詞は男性歌手、遊助。タレントで俳優の上地(かみじ)雄輔のアーティスト名。2013年発売。作曲:大隅知宇。TBS系で放送のドラマ「終電バイバイ」の主題歌。

檸檬〔戯曲〕

竹内純一郎(現名は竹内銃一郎)による戯曲。初演は劇団斜光社(1978年)。1979年、第23回岸田国士戯曲賞の候補作品となる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「檸檬」の解説

檸檬 (レモン)

学名:Citrus limon
植物。ミカン科の常緑低木

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世界大百科事典(旧版)内の檸檬の言及

【梶井基次郎】より

…三高入学後に中谷孝雄(なかたにたかお),外村繁(とのむらしげる)らと知って文学への関心を深め,頽廃的な生活を送り,肺結核になるが作家への道を志す。1924年東大に入学,翌年中谷,外村らと雑誌《青空》を創刊し,同誌に《檸檬(れもん)》《城のある町にて》(ともに1925)など後に梶井の代表作とされる佳作を発表するが,文壇からは注目されなかった。26年から伊豆の湯ヶ島温泉に転地療養し,その間に《冬の日》(1927),《冬の蠅》(1928)などの自己と外界への認識の深まりを示す作品が書かれた。…

※「檸檬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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