日本大百科全書(ニッポニカ) 「リッツ」の意味・わかりやすい解説
リッツ
りっつ
Walter Ritz
(1878―1909)
スイスの物理学者。シオン生まれ。1897年工科大学入学試験に合格し、チューリヒに行くが、健康を害して技師志望を断念し、1901年ゲッティンゲン大学に転じ、W・フォークト、ヒルベルトらに物理学や数学を学ぶ。学位論文のテーマにスペクトル項の研究を選び、1903年リュードベリの公式を訂正して、より実験値にあうリッツの公式を提案。ライデン、ボン、パリ、チューリヒなどに移り住んだのち、1908年ゲッティンゲン大学講師となる。同年スペクトル線の波数が任意の2項の差で表されるというリッツの結合原理を導くとともに、スペクトル線の生起を原子内磁場にある電子振動に帰するアイデアを発表。また、翌1909年、境界値問題を研究して変分法による近似解法レイリー‐リッツの方法を考案した。
[兵藤友博]