日本大百科全書(ニッポニカ) 「リット」の意味・わかりやすい解説
リット
りっと
Theodor Litt
(1880―1962)
ドイツの哲学者、教育学者。デュッセルドルフに生まれる。古代言語、歴史学を学び、教師生活を経て1919年ボン大学の員外教授、翌1920年ライプツィヒ大学教授となったが、当時のナチス政府によりその職を追われた。やがてボン大学に復職し(1947)、哲学、教育学を講じた。ディルタイの歴史主義、精神科学的方法を継承しながら、フッサールの現象学、ヘーゲルの弁証法を取り入れ、『歴史と生』(1918)、『個人と社会』(1919)などの著作において、個人と社会、教育理想と教育現実といった「教育学上の二律背反」の問題の解明、統一に学的追究を集中した。シュプランガー、H・ノールとともに文化教育学者の一人にあげられる。
[舟山俊明]