リトレ(読み)りとれ(英語表記)Maximilien Paul Émile Littré

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リトレ」の意味・わかりやすい解説

リトレ
りとれ
Maximilien Paul Émile Littré
(1801―1881)

フランスの医学史家、哲学者、文献学者、辞書編纂(へんさん)者。初め医学を学ぶ。数か国語をよくし、ヒポクラテスのギリシア語校訂版と仏訳を完成(1839~1861)。コントの実証主義思想に共感し、コントが神秘主義的になったのちも理性を最重視する合理主義を説いた。彼をとくに有名にしたのは、俗に「リトレ辞典」とよばれる『フランス語大辞典』Dictionnaire de la langue française(4巻1863~1873、補遺1877)の編纂である。これは語義と例文のほかに語源、語史、文法事項をも記述した画期的な辞典で、19~20世紀の文人に大きな影響を与えた。アカデミー会員。

[泉 邦寿 2018年8月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リトレ」の意味・わかりやすい解説

リトレ
Littré, Maximilien-Paul-Émile

[生]1801.2.1. パリ
[没]1881.6.2. パリ
フランスの文献学者,哲学者。 1844年に着手し 73年に完成した大規模の『フランス語辞典』 Dictionnaire de la langue françaiseで最もよく知られる。ヒポクラテスの著作翻訳編集も行なった (1839~62) 。哲学者としては,A.コント交友があり,実証主義者であった。

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