リポ多糖(読み)リポタトウ(その他表記)lipopolysaccharide

デジタル大辞泉 「リポ多糖」の意味・読み・例文・類語

リポ‐たとう〔‐タタウ〕【リポ多糖】

脂質多糖類共有結合した物質グラム陰性菌細胞壁外層を構成する。内毒素本体であり、人や動物体内で強い抗原性を示す。LPS(lipopolysaccharide)。

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改訂新版 世界大百科事典 「リポ多糖」の意味・わかりやすい解説

リポ多糖 (リポたとう)
lipopolysaccharide

多糖と脂質が共有結合した物質の総称。著名なのは,グラム陰性菌のもので,これは細胞壁成分の20~30%を占めている。多糖の骨格部分はガラクトース,マンノース,ラムノース,N-アセチルグルコサミングルコースヘプトースなどから成る複雑な構造をしている。糖と脂質の結合部位(Rコアと呼ばれる)には,2-ケト-3-デオキシオクツロン酸(略称KDO)といった特殊な成分もある。グラム陰性菌のリポ多糖は強い抗原性を有し,O抗原とも呼ばれる。O抗原の特異性はサルモネラなどの腸内細菌の種や系統ごとに異なり,その同定に役だっている。O抗原の特異性を担うのは多糖部分で,ことにその外側の部分に存在するアベコース(3,6-ジデオキシ-D-ガラクトース),コリトース(3,6-ジデオキシ-L-ガラクトース)のような特殊な糖が重要である。グラム陰性菌のリポ多糖は,またその内毒素の本体でもあり,注射によりショックや発熱をひき起こす。毒性を担うのは,リピドA lipid Aと呼ばれる脂質部分である。
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化学辞典 第2版 「リポ多糖」の解説

リポ多糖
リポタトウ
lipopolysaccharide

略称LPS.リポポリサッカライドともよばれる.グラム陰性菌の細胞壁を構成する内毒素成分の一つで,特異多糖鎖部分,コア多糖部分,および脂質部(リピドA)の3領域からなる.特異糖鎖部位は多様性に富み,菌の種類によって異なる.リピドAはグルコサミン,脂肪酸リン酸を含み,エンドトキシンショックの原因となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「リポ多糖」の解説

リポ多糖

 リポポリサッカリドともいう.グラム陰性菌の外膜に含まれる脂肪酸と多糖の複合体で,糖は七炭糖,八炭糖などで構成されている.動物にとって毒性がある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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