日本大百科全書(ニッポニカ) 「リート形式」の意味・わかりやすい解説
リート形式
りーとけいしき
Liedform ドイツ語
西洋音楽における楽曲形式の一つ。リートとは歌曲を意味するドイツ語であるが、リート形式ということばは、歌にみられるような単純、明快な形式といった意味で、器楽曲において用いられるのが普通である。具体的には単純な二部形式と三部形式およびそれらの変種をさす。それぞれの楽節は二小節のモチーフが二つ並列されて四小節に、さらにそれが二つあって八小節となる……というふうに、二小節の単位を積み上げるようにして形成されており、ところどころの偶数小節に段落がある。二部形式はこうした小単位が二つ連なったものであり、その二つの小単位の間には、反復(A―A)、対照(A―B)、変化(A―A′)という三通りの形がありうる。三部形式ではA―B―AないしA―B―A′という形がもっとも一般的だが、A―A―BやA―B―B、A―B―Cなどもありうる。こうした形式の拡大、延長として、なおさまざまの変種をあげることができる。
[大崎滋生]