アフリカ中央部,ウガンダ,コンゴ民主共和国(旧,ザイール)国境の山地。アフリカ大地溝帯の傾動地塊で,北東から南西に走り,長さ120km,幅50km。北西斜面はセムリキ川低地に急傾斜し,南東斜面は緩傾斜する。頂部は最高峰のスタンリー山群を中心に,北東のスピーク,ゲシ,エミン,南東のベーカー,ルイジなど氷食地形のみられる6山群で構成される。古代エジプトでナイル川の水源と考えられていた〈月の山〉とは,この山地を指していたと推定されるが,ヨーロッパ人による実見は,1889年のスタンリーが最初といわれる。彼の名をとった山群の主峰は,マルゲリータ峰(5109m)とアレクサンドラ峰(5091m)の双頭である。初登頂は1906年イタリアのアブルッツィ公隊により行われた。
執筆者:戸谷 洋
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アフリカ中部、ウガンダ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)国境にある山地。赤道のすぐ北に位置する。アフリカ大地溝帯に沿う傾動地塊で、非火山としてはアフリカ最高の山地である。氷河や万年雪を頂く高峰が多く、六つの山群のうち最高峰のスタンリー山は、マルゲリータ峰(5110メートル)とアレクサンドラ峰(5091メートル)の双頭である。山麓(さんろく)は熱帯雨林に覆われ、ゴリラやゾウが生息する。つねに霧に包まれて神秘性を帯び、伝説が多い。プトレマイオスの世界地図に「月の山」と記され、古くからナイル川の源とみられていたが、1889年探検家スタンリーが確認するまで謎(なぞ)が多かった。1906年イタリアのアブルッツィ公隊が初登頂に成功した。付近のバコンジョ人からは聖なる山とされている。
[中村和郎]
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