改訂新版 世界大百科事典 の解説
ルビジウム・ストロンチウム法 (ルビジウムストロンチウムほう)
rubidium strontium dating method
ルビジウムの放射性同位体である87Rbが半減期4.88×1010年でストロンチウムの同位体である87Srに崩壊する現象を利用した年代測定法。数千万年以前の年代測定に有効。マグマ中では87Rb/86Sr比は一様であるが,マグマから火成岩が形成される過程で鉱物ごとにRbとSrの取込み方が異なるため,87Rb/87Sr比は鉱物ごとに異なった値になる。この87Rb/87Sr比のちがいにより,火成岩ができた時にはどの鉱物でも同じだった87Sr/86Sr比は,87Rbが87Srに崩壊するため時間がたつと鉱物ごとに異なってくる。λを87Rbの崩壊定数,(87Sr/86Sr)0を火成岩生成時の値,tを火成岩生成から現在までの時間とすると,上の現象は
87Sr/86Sr=(87Rb/86Sr)(eλt-1)+(87Sr/86Sr)0
と書ける。これは縦軸に87Sr/86Sr,横軸に87Rb/86Srをとると,鉱物のデータは,傾き(eλt-1),切片(87Sr/86Sr)0の直線に乗ることを示している(こうして求められる直線を等年代線(アイソクロンisochron)という)。傾きから年代tが求められる。
火成岩の岩体が変成を受けると岩体の部分ごとに87Rb/86Sr,87Sr/86Srが一様化される。一つの部分に生じた変成鉱物を用いれば変成の年代が求まる。一方,変成作用では大きな岩体が一様化されることはないため,岩体の部分部分を取り出し,その平均的な87Rb/86Sr,87Sr/86Srをグラフに示すと岩体が初めにできた年代を得ることができる。
執筆者:斎藤 和男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報