ルルー(読み)るるー(英語表記)Gaston Leroux

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルルー」の意味・わかりやすい解説

ルルー
るるー
Gaston Leroux
(1868―1927)

フランスの娯楽・冒険・推理作家、ジャーナリストパリ郊外の生まれ。犯罪記者、戦争特派記者として世界各国を駆け回る波瀾(はらん)の経歴ののち、その経験を生かして多くの大衆小説を発表した。なかでもスリラー物語『オペラ座怪人』Le fantôme de l'Opéra(1910)は有名で、何度も映画化されている。ルルーには本格推理小説の一つの里程標ともなった、もう一つの傑作『黄色い部屋の秘密』(1907)がある。これは本格推理トリックの粋ともいうべき密室殺人を扱ったもので、イギリスのイズレール・ザングウィルIsrael Zangwill(1864―1926)が『ビッグ・ボウの殺人』(1892)で初めて扱った密室殺人よりやや遅れるものの、論理構成はルルーのほうが優れており、これを最初の密室ものと考える人も多い。ほかに『殺人機械』La machine à massacre(1923)などがある。

[梶 龍雄]

『宮崎嶺雄訳『黄色い部屋の謎』(創元推理文庫)』『石川湧訳『黒衣婦人の香り』(創元推理文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルルー」の意味・わかりやすい解説

ルルー
Leroux, Gaston

[生]1868.5.6. パリ
[没]1927.4.15. ニース
フランスの推理小説作家。裁判所記者,議会記者を経て『マタン』紙の記者となる。心理小説『テオフラスト・ロンゲの二重生活』 La Double Vie de Théophraste Longuet (1904) ののち,若い記者ルルタビーユを主人公にした推理小説で世界的な名声を得た。代表作『黄色い部屋の秘密』 Le Mystère de la chambre jaune (08) ,『黒衣婦人の香り』 Le Parfum de la dame en noir (09) ,『オペラ座の怪人』 Le Fantôme de l'Opéra (10) 。

ルルー
Leroux, Pierre

[生]1797.4.17. パリ
[没]1871.4.11. パリ
フランスの哲学者。社会主義と汎神論を結合した。 1824年『地球』 Le Globe紙を創刊,31年からサン・シモン派の機関紙となった。 38~41年 J.レイノーとともに『新百科全書』を刊行。 48年ブーサック市長,立憲議会議員。 48年立法議会議員。 51年のクーデターロンドン亡命。人間は感覚,感情知性から成るとし,社会の調和をそこに基礎づけた。また社会の現状をきびしく批判し,社会主義の概念に初めて詳細な批判を加えた。主著『人間性について』 De l'Humanité (1840) 。

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