イランのパフラビー朝の初代皇帝(在位1925~1941)。イラン北部のアルボルズ山系中の僻村(へきそん)アラシトに軍人の子として生まれる。十代でカージャール朝下唯一の近代的軍隊であったコサック部隊に入り頭角を現す。このころはレザー・ハーンReā Khānと称した。イギリスがソビエト新政権を牽制(けんせい)し、イランにおける権益の保全を目的に策した1921年のクーデターを、麾下(きか)のコサック部隊を率いて遂行。のち、国軍の総司令官に就任する一方、歴代内閣の戦争相を兼任し政府の実権を掌握した。1925年末には自らシャー(皇帝)に即位し、強力な軍事独裁体制を背景に、トルコのケマル・アタチュルクに倣った西欧志向型の強引な「近代化」を推進。その結果、多くの社会的矛盾を引き起こした。外交面ではナチス・ドイツに接近、第二次世界大戦に際し侵攻したイギリス・ソ連両軍の圧力の下に1941年退位し、南アフリカのヨハネスバーグで死去した。
[八尾師誠]
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1878~1944(在位1925~41)
イランのパフラヴィー朝の創設者。カスピ海南岸の出身。若くしてカザーク兵団に入り,1921年カージャール朝末期にクーデタに成功。軍司令官として実権を掌握し,25年王朝を創設し即位。ケマル・アタテュルクを手本に,各種の改革を断行。第二次世界大戦中,41年9月英ソの圧迫により退位し,44年ヨハネスブルグで客死した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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