レジス(その他表記)Jean-Baptiste Régis

改訂新版 世界大百科事典 「レジス」の意味・わかりやすい解説

レジス
Jean-Baptiste Régis
生没年:1663-1738

フランス生れのイエズス会宣教師。漢名は雷孝思。同じフランス人イエズス会のブーベに伴われ,1698年(康煕37)に中国に渡る。清朝第2代の康煕帝はフランス人イエズス会宣教師の提案を入れ,中国全土の測量を行うことになった。当時測地学は〈フランスの科学〉と呼ばれていた。1708年にブーベ,レジス,ジャルトゥらはモンゴリア・長城一帯を測量した。これを手初めに,その後はレジスを中心に満州をはじめ中国各地の測量が行われ,15年に一応完了した。その結果はジャルトゥによってまとめられ,18年には康熙帝に献上された。これが《皇輿(こうよ)全覧図》であり,中国最初の近代地図となった。中国で印刷され,またそれがフランスに伝わって,デュ・アルドの《中国全誌》などに転載された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レジス」の意味・わかりやすい解説

レジス
れじす
Jean Baptiste Régis
(1663―1738)

フランス人のイエズス会士。漢名は雷孝思。1679年イエズス会に入会し、1698年に中国に渡り、その数学天文学に対する知識を買われて、宮廷奉仕のために北京(ペキン)によばれた。『皇輿全覧図(こうよぜんらんず)』作製の事業で、レジスの測量した地域は他のどの宣教師よりも広く、蒙古(もうこ)、東北、山東河北(かほく)、河南(かなん)、江蘇(こうそ)、安徽(あんき)、浙江(せっこう)、福建雲南、台湾に及んだ。語学にも堪能(たんのう)で、『易経』をラテン語に翻訳した。北京で客死。

[矢澤利彦 2018年2月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レジス」の意味・わかりやすい解説

レジス
Régis, Jean-Baptiste

[生]1663.2.2.
[没]1738.11.24.
フランスのイエズス会宣教師。中国名は雷孝思。康煕 37 (1698) 年に中国に渡り,天文,数学の知識で清朝に仕えた。康煕帝がパルナン (巴多明) の進言で実測地図の作成を決定すると同 47~55 (1708~16) 年実測にあたり,『皇輿全覧図』を完成した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「レジス」の解説

レジス
Jean Baptiste Régis

1663〜1738
フランスのイエズス会宣教師。中国名は雷孝思
地理学・数学・天文学の学識により清朝に迎えられ,康熙 (こうき) 帝の命をうけて最初の中国実測地図「皇輿全覧図 (こうよぜんらんず) 」の製作に従事した。

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