レビ・チビタ(読み)れびちびた(英語表記)Tullio Levi-Civita

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レビ・チビタ」の意味・わかりやすい解説

レビ・チビタ
れびちびた
Tullio Levi-Civita
(1873―1941)

イタリア数学者。その師リッチCurbastro Gregorio Ricci(1853―1925)とともに、1901年に「絶対微分学」を創始。これはリーマン幾何学とその拡張、および理論物理学研究のための非常に強力な武器となった。現にA・アインシュタインが1916年に発表した一般相対性理論においては、この「絶対微分学」が縦横に活用された。彼はさらに、1917年に、それまでは主として解析的に研究されていたリーマン幾何学のなかへ「平行性」の概念を導入した。これによってリーマン幾何学は一挙にその幾何学的な側面を取り戻した。これは現在では「レビ・チビタの平行性の概念」とよばれている。なお相対論弾性学にも業績を残している。

矢野健太郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レビ・チビタ」の意味・わかりやすい解説

レビ=チビタ
Levi-Cività, Tullio

[生]1873.3.29. パドバ
[没]1941.12.20. ローマ
イタリアの数学者。パドバ大学に学び (1891~95) ,母校の教授となる (1902) 。 1918年にローマ大学の教授に任命されたが,38年ユダヤ系であるという理由でその地位を追われた。純粋・応用数学以外に流体力学工学にも業績があり,彼の活動は多岐にわたっている。特に,1900年にパドバ大学時代の師 C.リッチとともに,現在テンソル解析と呼ばれている絶対微分学を創始したこと,また 17年にはリーマン空間に平行移動の概念を導入したことの二大業績はよく知られている。平行移動の概念は広く応用されており,一般相対性理論において電磁場と重力場の統一理論の基礎となる一方,位相数学の発展にも大きな影響を与えた。主著『絶対微分学の方法とその応用』 (1900) のほか,古典力学や相対論に関する著書がある。

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