日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロストフツェフ」の意味・わかりやすい解説
ロストフツェフ
ろすとふつぇふ
Michael Ivanovich Rostovtseff (Rostowzew)
(1870―1952)
ロシア生まれの西洋古代史家。ペテルブルグ大学で学んだのち、1903年より同大学教授。17年に十月革命が起こると、翌年イギリスに亡命。さらに2年後アメリカに渡り、20~25年ウィスコンシン大学教授。以後、エール大学教授、同大学考古学研究主任を務め、39年名誉教授となる。彼は考古学の成果を組織的に歴史研究に取り入れ、生き生きとした古代社会像を描き出した。ただし、古典古代文明を「都市ブルジョアジー」の文明ととらえ、それを「プロレタリアート」が破壊したとする彼の古代史観は、さまざまな方面からの批判を浴びている。おもな著書として『ローマ帝国社会経済史』(1926、第二版1957)、『ヘレニズム世界社会経済史』(1941)があり、そのほか『南ロシアにおけるイラン人とギリシア人』(1922)と『隊商都市』(1931、英語版1932)には邦訳がある。
[坂口 明]
『坪井良平・榧本亀次郎訳『古代の南露西亜』(1944・桑名文星堂/復刻版・1976・原書房)』▽『青柳正規訳『隊商都市』(1978・新潮社)』