押込み硬さ(indentation hardness)の一種であって,工業的にもっともよく用いられる.押込み硬さとは,定められた押込み体(圧子ともいい,鋼製またはダイヤモンドが多い)を一定荷重で供試体表面に押しつけ,生じた圧痕の大きさによって定義する硬さをいい,もっともよく用いられる測定法などを表1に示す.ロックウェル硬さは,初荷重を掛けてダイヤルゲージをセットに合わせ,ついで主荷重を静かに掛けて一定時間保持し,ふたたび初荷重に戻したときの圧痕の深さを硬さ数としてダイヤルゲージで直読できるようになっている.測定時間が短いことと,圧子とダイヤルゲージの組合せによって表2に示すような多数の使い方ができ,軟らかいものから硬いものまですべての材料に適用ができるので,工業用としてはもっとも広く用いられている.ただし,規格としてはブリネル硬さによる規定のほうが多い.B~A硬さは金属材料用で,とくにAは炭化タングステンのようなとくに硬いものに,Cは主として鋼に,Bは軟鋼と非鉄材料を対象としている.D以下は,と石やプラスチックを対称としている.[別用語参照]硬さ試験
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
工業材料の硬さを表す尺度の一つで、押込み硬さの一種。1919年にアメリカのロックウェルS. P. Rockwellが軸受のレースraceの硬さを測定するために考案し、ウィルソンC. H. Willsonが試験機を製作して実用化された。圧子を試料表面に基準荷重で押し付け、次に一定の試験荷重で押し込む。ふたたび基準荷重に戻したとき、前後2回の基準荷重におけるくぼみの深さの差から硬さが求められる。適用する材料に応じて、圧子、荷重、硬さの計算式の異なるいくつかの尺度(スケール)がある。基準荷重を10キログラムとし、頂角120度、先端半径0.2ミリメートルの円錐(えんすい)形ダイヤモンド圧子を用い、試験荷重を150キログラムとするCスケール、および直径6分の1インチ(4.23ミリメートル)の鋼球圧子を用い試験荷重100キログラムのBスケールがよく用いられる。ロックウェル硬さの値は試験機の目盛りでただちに指示され、測定が簡便であることから、工業的にもっとも広く使用される硬さである。
[林 邦夫]
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…そのため実際にはまず硬さ試験法を定義し,その結果得られる値を硬さと定義する方法がとられている。硬さ試験法にも多くの種類があるが,代表的なものを分類すると,硬い材料ほど物を押し込むのに大きな力を必要とすることを利用した押込み硬さ試験(ブリネル硬さ試験,ビッカース硬さ試験,ロックウェル硬さ試験など),硬い材料ほど反発が大きいことを利用した反発硬さ試験(ショア硬さ試験など),硬い材料ほど引っかききずができにくいことを利用した引っかき硬さ試験(マルテンス引っかき硬さ試験など)などがあり,おもなものはJISに規定されている。いずれの試験法においても得られた硬さ値が大きい材料ほど硬いことを意味する。…
※「ロックウェル硬さ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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