改訂新版 世界大百科事典 「ロド」の意味・わかりやすい解説
ロド
José Enrique Rodó
生没年:1871-1917
ウルグアイのモデルニスモ散文作家,思想家。大学教授,国立図書館長,代議士を歴任した。主著《アリエル》(1900)は,ラテン・アメリカの若い知識人に捧げられた警世の書。当時,米西戦争(1895-98)によってスペインの植民地体制が崩壊し,代わって〈北の巨人〉アメリカ合衆国が進出する気配を示していた。だがロドの見る〈北の巨人〉は,物質文明と功利主義に彩られた国であり,一方ラテン・アメリカは地中海文明にルーツをもつ精神文化と芸術美にあふれた国である。彼は敬愛するシェークスピアの《あらし》に登場する〈エアリエル〉を理性の象徴として,それをラテン・アメリカに見立て,E.ルナンの《哲学的戯曲》にも現れる〈カリバン〉を本能の権化としてそれを北アメリカに当てはめながら,ラテン文化の擁護とラテン・アメリカの精神的統一を次の世代に訴えたのである。
執筆者:神代 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報