日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワインガルトナー」の意味・わかりやすい解説
ワインガルトナー
わいんがるとなー
Felix Weingartner
(1863―1942)
オーストリアの指揮者で、20世紀前半を代表する大家の一人。ザーラ(現クロアチア南西部のザダル)生まれ。グラーツとライプツィヒでピアノと作曲を学び、さらにワイマールでリストに師事した。ケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)の歌劇場指揮者を振り出しに各地で活躍、1891年からベルリン宮廷歌劇場首席指揮者。1908年マーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場指揮者に転じ、あわせて08~27年ウィーン・フィルハーモニーの常任指揮者を務めた。14年からはダルムシュタット歌劇場、ウィーン・フォルクスオーパーの指揮者、バーゼル音楽院長を歴任、35~36年ウィーン国立(旧宮廷)歌劇場総監督。37年(昭和12)来日、新交響楽団(現N響)を指揮して楽員と聴衆に深い感銘を与えた。ナチスによるオーストリア併合のため、38年以後はフランスとイギリスで活動、スイスで死去。古典的な形式美を重んじた典雅な演奏スタイルで知られ、またベートーベン解釈の権威として大きな影響を及ぼした。
[岩井宏之]