ワケギ(読み)わけぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワケギ」の意味・わかりやすい解説

ワケギ
わけぎ / 分葱
[学] Allium fistulosum L. var. caespitosum Makino

ユリ科(APG分類:ヒガンバナ科)の多年草ネギ変種とされる。シベリア地方原産で、日本には5世紀ころには渡来して栽培されていたらしい。江戸時代にはすでに冬の野菜として名が知られ、冬葱(ふゆねぎ)ともよばれていた。ネギより小形で、高さ30センチメートルほど、細く、何本も群がって株をなす。地下の鱗茎(りんけい)は長卵形で、表面の古い鱗葉は黄赤褐色となっている。葉は夏に枯れて鱗茎は休眠する。掘り上げて陰干ししておき、秋口に鱗茎を1個ずつ離して畑に植え付ける。ただちに発芽して冬の間に新しい葉が伸び、鱗茎は数個ときに30個ほどにも殖える。3~4月になって成長したものも食べられるが、普通は土寄せして軟白させ、香気と柔らかさを保つくふうをする。ネギと違って花茎を出すことはまれである。

[星川清親 2019年3月20日]

 未成熟の鱗茎(りんけい)と葉茎が、早春の季節感豊かな香味野菜として食用にされる。葉を刻んで吸い物の具や薬味として用いるほか、なまのままもろみをつけて前菜に、またゆでて酢みそ和(あ)え、ぬたなどにもよい。

[齋藤 浩 2019年3月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワケギ」の意味・わかりやすい解説

ワケギ(分葱)
ワケギ
Allium fistulosum var. caespitosum

ヒガンバナ科ネギ属の多年草。小型のネギ(葱)一種で食用に栽培される。地下部はラッキョウのように卵形にふくれて 3~5個に分かれ,全体タマネギ(玉葱)の皮のような鱗皮に包まれる。地上部は細長く円筒状で,高さ 30cmくらい,ネギよりもニラ(韮)に近い感じであるが,扁平ではなく,全体にネギに似た香りがある。ワケギは結実せず,株分けで増やす。

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