日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワサビノキ」の意味・わかりやすい解説
ワサビノキ
わさびのき
[学] Moringa oleifera Lam.
ワサビノキ科(APG分類:ワサビノキ科)の落葉小木。モリンガともいう。インド、ミャンマー(ビルマ)一帯が原産地。樹高数メートルで、樹皮はコルク質で灰色。葉は枝に互生し、3回羽状複葉で長さ約60センチメートル、裏面は灰白色。花は葉腋(ようえき)に円錐(えんすい)花序をなしてつき、白い蝶形(ちょうけい)の五弁花で香りがよい。果実は棒状で30~60センチメートル、9本の稜(りょう)があり、枝からぶら下がる。果実の中には球形で翼のある種子がある。植物体全体に辛味がある。とくに根の辛味が強く、香辛料に用いる。未成熟の果実はドラムスティックとよばれ、インドでは一般的な野菜である。また、種子は良質の油を含み、これを絞ってベン油またはモリンガ油とよび、時計など高級機械油に用いた。またサラダ油や香油としても用いられる。繁殖は実生(みしょう)により、生育は速く、熱帯全域に広まっている。ワサビノキ科は双子葉植物、離弁花類。草質の低木で、1属10種あり、熱帯に分布する。
[星川清親 2020年10月16日]