日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワサビダイコン」の意味・わかりやすい解説
ワサビダイコン
わさびだいこん / 山葵大根
horse radish
[学] Armoracia rusticana Gaertn., Mey. et Scherb.
アブラナ科(APG分類:アブラナ科)の多年草。ヨーロッパ原産でセイヨウワサビともよび、英語名のホースラディッシュ、あるいはフランス語のraifortからレホールという呼称も近年一般化している。根は太くやや木質化し、白色。根出葉は長い葉柄の先に長楕円(ちょうだえん)形の葉身があり、全長60センチメートルほどになる。越冬時の葉身は深い切れ込みがある。春に60センチメートルほどの花茎が立って、多くの白色の4弁花がたくさんつく。果実は小さい扁楕円(へんだえん)形の莢(さや)であるが、種子は実らないのが普通である。繁殖は根茎による。株分けによって畑に植え付け、1、2年目に根を掘り取って、細い枝根を除き、中央の太い棍棒(こんぼう)状の根を30センチメートルほどに整えて出荷する。古くから香辛料のほか薬用にする。
食品
ヨーロッパ、とくにフランス、イギリスなどでは昔からよく使われてきた。日本のワサビに似た香辛味があり、中身が白いのでおろすと白いわさびおろしになり、ローストビーフの付け合せに欠かせない。塩、酢などの調味料と混ぜて肉料理のあしらいにも使われる。グレービーソースに混ぜ込んだものは、川魚の臭みを消し風味を引き立たせるので、川魚料理にもよい。根茎の乾燥粉末は粉わさびに利用される。
[齋藤 浩 2020年12月11日]