ワーゲンザイル(英語表記)Georg Christoph Wagenseil

改訂新版 世界大百科事典 「ワーゲンザイル」の意味・わかりやすい解説

ワーゲンザイル
Georg Christoph Wagenseil
生没年:1715-77

オーストリアの作曲家。J.J.フックスの弟子で,生地ウィーンで活躍した。初め後期バロック様式の作品を書いていたが,18世紀半ばころからしだいにギャラント様式をみせ始め,ことにウィーンにおける古典派様式の先駆者一人となって,ハイドンモーツァルトに少なからぬ影響を与えた。交響曲,チェンバロ協奏曲,室内楽,鍵盤楽器のための作品,教会音楽劇音楽など多数の作品を残しているが,今日まだその多くは知られていない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワーゲンザイル」の意味・わかりやすい解説

ワーゲンザイル
わーげんざいる
Georg Christoph Wagenseil
(1715―1777)

オーストリアの作曲家。古典派の先駆となった第一次ウィーン楽派巨匠の一人。1月29日ウィーンに生まれ、10代から作曲を始めた。1735年宮廷楽長J・J・フックスの推薦で奨学金を得、その指導下に学び、39年には宮廷作曲家に任じられて生涯その地位にとどまった。41~50年クリスティーネ皇太后の宮廷礼拝堂オルガン奏者も務めた。ベネチアミラノで自作のオペラも上演し、50年代中ごろにはパリの出版社から多数の作品が出版されて国際的な名声をかちえた。62年に幼いモーツァルトがマリア・テレジア女帝の前でワーゲンザイルの協奏曲を演奏した逸話も有名。65年ごろから左手痛風のため宮廷から退き、作曲と教育に専念、77年3月1日ウィーンで世を去った。オペラ、オラトリオのほか多数の交響曲、協奏曲、室内楽曲がある。

[樋口隆一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワーゲンザイル」の意味・わかりやすい解説

ワーゲンザイル
Wagenseil, Georg Christoph

[生]1715.1.15. ウィーン
[没]1777.3.1. ウィーン
オーストリアの作曲家。マリア・テレジアや王女たちのチェンバロ教師をつとめ,1739年から死ぬまでウィーンの宮廷作曲家の地位にあった。古典派以前のウィーン楽派の重要な作曲家の一人で,ハイドンに影響を与えた。作品はオペラ,オラトリオ,交響曲,器楽曲など。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のワーゲンザイルの言及

【ウィーン楽派】より

…むしろウィーン楽派はバロックと古典派の間にあって,同時代のイタリアとフランス(ロココ様式),ドイツ(多感様式)の諸様式を,この都市に特有の気質をもって生き生きと媒介し,古典派に受け渡した点で意義がある。作曲家としては,クラビア作品によってモーツァルトに影響を与えたワーゲンザイルG.C.Wagenseil(1715‐77)とシンフォニア史上重要なモンM.G.Monn(1717‐50)が有名である。前古典派の諸成果は,ウィーン古典派の大家たち,ハイドン,モーツァルト,ベートーベン(さらにはシューベルト)らによって総合され高度に発展させられることになる。…

【ウィーン楽派】より

…むしろウィーン楽派はバロックと古典派の間にあって,同時代のイタリアとフランス(ロココ様式),ドイツ(多感様式)の諸様式を,この都市に特有の気質をもって生き生きと媒介し,古典派に受け渡した点で意義がある。作曲家としては,クラビア作品によってモーツァルトに影響を与えたワーゲンザイルG.C.Wagenseil(1715‐77)とシンフォニア史上重要なモンM.G.Monn(1717‐50)が有名である。前古典派の諸成果は,ウィーン古典派の大家たち,ハイドン,モーツァルト,ベートーベン(さらにはシューベルト)らによって総合され高度に発展させられることになる。…

※「ワーゲンザイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android