日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワーゲンザイル」の意味・わかりやすい解説
ワーゲンザイル
わーげんざいる
Georg Christoph Wagenseil
(1715―1777)
オーストリアの作曲家。古典派の先駆となった第一次ウィーン楽派の巨匠の一人。1月29日ウィーンに生まれ、10代から作曲を始めた。1735年宮廷楽長J・J・フックスの推薦で奨学金を得、その指導下に学び、39年には宮廷作曲家に任じられて生涯その地位にとどまった。41~50年クリスティーネ皇太后の宮廷礼拝堂オルガン奏者も務めた。ベネチアやミラノで自作のオペラも上演し、50年代中ごろにはパリの出版社から多数の作品が出版されて国際的な名声をかちえた。62年に幼いモーツァルトがマリア・テレジア女帝の前でワーゲンザイルの協奏曲を演奏した逸話も有名。65年ごろから左手の痛風のため宮廷から退き、作曲と教育に専念、77年3月1日ウィーンで世を去った。オペラ、オラトリオのほか多数の交響曲、協奏曲、室内楽曲がある。
[樋口隆一]