改訂新版 世界大百科事典 「アコウダイ」の意味・わかりやすい解説
アコウダイ (緋魚)
Sebastes matsubarae
カサゴ目フサカサゴ科の深海魚。アコウまたはメヌケ,メヌキなどともいわれる。近縁種にオウサガ,サンコウメヌケ,バラメヌケがおり,一括してメヌケと呼ばれることが多い。太平洋側では茨城県から高知県沖,日本海側では新潟県から山口県沖に分布し,とくに相模湾や駿河湾の深所で多獲される。深海の岩礁地帯にすみ,体色は鮮やかな赤色で,しばしば背中に大きな黒斑をもつのが特徴。全長60cm以上になる。12~4月ごろまでの間は水深200~300mのやや浅いところに移動し産卵するとされているが,他の季節には水深600~700mの深所にすむ。雄の肛門直後に突起があるので,交尾すると考えられる。深海性のため漁獲時に胃が裏がえって口から飛び出してしまうことが多い。エビ類,イカ類,魚類を主食とする。12~4月の産卵期に底はえなわやトロールで漁獲される。しゅんは冬で,肉は切身にされ,煮つけ,塩焼き,みそ漬で食べる。
執筆者:谷内 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報