アセチルアセトン

デジタル大辞泉 「アセチルアセトン」の意味・読み・例文・類語

アセチルアセトン(acetylacetone)

CH3COCH2COCH3で表される有機化合物β-ジケトン一つ。さまざまな金属イオンと結合してキレート化合物を形成する。2,4-ペンタンジオン。ジアセトンジアセチルメタン

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化学辞典 第2版 「アセチルアセトン」の解説

アセチルアセトン
アセチルアセトン
acetylacetone

2,4-pentanedione.C5H8O2(100.12).CH3COCH2COCH3.ナトリウムまたはナトリウムアルコキシドの存在下でアセトン酢酸エチルとをクライゼン縮合させるか,または三フッ化ホウ素の存在下にアセトンと無水酢酸を縮合させることによって得られる.無色の可燃性液体融点-23 ℃,沸点140 ℃.0.9721.1.454.希塩酸有機溶媒に可溶.代表的なβ-ジケトンで,アセト酢酸エチルなどと同様にケト形エノール形平衡混合物として存在し,その平衡は溶媒によってかわる(遊離状態では70% がエノール形).多くの金属とキレートをつくるので,各種金属の抽出試薬として使われ,またキレートのなかには接触還元触媒能をもつものが多い.酸化により酢酸を生成し,アルカリ分解するとアセトンと酢酸になる.溶剤殺虫殺菌剤,そのほか合成中間体など,工業的用途も多い.[CAS 123-54-6][別用語参照]アセチルアセトナト錯体

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセチルアセトン」の意味・わかりやすい解説

アセチルアセトン
あせちるあせとん
acetylacetone

ジケトンの一つ。2,4-ペンタンジオンともよばれる。アセトンと酢酸エチルとを、ナトリウムアルコキシドなどの塩基の存在下で縮合させると生成する。

 無色、可燃性の液体。ケト形とエノール形の2種類の互変異性体の平衡混合物として存在することで有名である。

 水および種々の有機溶媒に溶ける。種々の金属イオンとキレート化合物を生成し、これらのキレート化合物は有機溶媒に溶けるので、キレート化剤や金属の溶媒抽出試薬として用いられる。このほかに、アセチルセルロースの溶剤、ガソリン潤滑油の添加物としての用途をもつ。

[廣田 穰]



アセチルアセトン(データノート)
あせちるあせとんでーたのーと

アセチルアセトン

 分子式  C5H8O2
 分子量  100.1
 融点   -23.2℃
 沸点   140.5℃
 比重   0.976(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.4512
 溶解度  16g/100mL水
 解離定数 Κ=1.58×10-9

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アセチルアセトン」の意味・わかりやすい解説

アセチルアセトン
acetylaceton

ジアセチルメタン,2,4-ペンタンジオンともいう。化学式は CH3COCH2COCH3 。無色可燃性の液体。沸点 139℃。β-ジケトンで,ケトエノール互変異性体として存在し,その平衡混合物中,遊離状態では約 70%,クロロホルム溶液では約 90%がエノール形をとる。エノール形は塩化第二鉄と反応して赤色を呈し,また多くの金属イオンと反応し,有機溶媒に溶けやすいキレート化合物をつくるので,金属イオンの抽出剤として分析に用いられる。水に 30℃で 15%,80℃で 34%溶ける。エチルアルコール,エーテル,クロロホルムに易溶。酸化すると酢酸を生じ,水酸化カリウムと加熱するとアセトンと酢酸に分解する。アセチルセルロースの溶媒,殺虫・殺菌剤,その他工業用に使われる。

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