アセチルセルロース(読み)あせちるせるろーす(英語表記)acetyl cellulose

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アセチルセルロース
あせちるせるろーす
acetyl cellulose

酢酸繊維素、酢酸セルロースまた簡単にアセテートともいう。セルロースの酢酸エステル。セルロースはC6単位当り3個のヒドロキシ基-OHをもっているが、このヒドロキシ基を酢酸基-OCOCH3で置換したもの。リンター(綿花の短繊維)または特別に精製した亜硫酸法パルプを無水酢酸、酢酸、硫酸の混酸とともに攪拌(かくはん)すると、3-アセチルセルロース(第一次酢酸セルロース、トリアセテートともいう)を生成する。生成した3-アセチルセルロースはアセトンに溶けないが、これを薄い酸の存在で加水分解して、セルロースに結合しているアセチル基CH3CO-の一部を取り去る(第二次酢酸セルロースという)とアセトンに溶ける。この3-アセチルセルロース(第二次酢酸セルロース)の15~24%アセトン溶液をドープという。このドープを口金の小孔(こあな)から熱風中に押し出すと糸になる。これをアセテート繊維という。プラスチックとしての利用のためには、可塑剤としてリン酸エステルやフタル酸ジブチルを約30%加える。染料や顔料で好みの色に着色し、120℃に加熱して押出し機で押し出し、粉砕してチップにする。これは一般の成形法で、セルロイドと同じ用途に用いるが、セルロイドと違い不燃性である。しかし、アセチルセルロースはニトロセルロース、アセテートブチレートやプロピオネートなどに比べて他のプラスチック類との相溶性はよくない。また、フィルムはドープをフィルム状に押し出す。写真フィルムのベースに使われる。

[垣内 弘]

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百科事典マイペディアの解説

アセチルセルロース

酢酸繊維素とも。セルロースを氷酢酸無水酢酸および硫酸の混酸で処理して得られるセルロースの酢酸エステル。酢化度の相違によりアセトン可溶の二酢酸セルロースと不溶の三酢酸セルロースとがある。前者からアセテート,後者はその後安価な塩化メチレンに可溶され,トリアセテートの2大アセテート繊維として工業化された。また,写真用フィルム,プラスチック,塗料などの原料として用いられる。
→関連項目アセテート繊維固形アルコール半合成繊維ラッカー

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精選版 日本国語大辞典の解説

アセチル‐セルロース

〘名〙 (acetylcellulose) セルロース分子中の水酸基をアセチル化したもの。一八九四年、イギリスで発明。燃えにくく吸湿性が低い。アセテート人絹、耐熱フィルム、電気絶縁材料、塗料ラッカー、プラスチック成形品などに広く使用。酢酸繊維素。酢酸セルロース。セルロースアセテート。

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世界大百科事典 第2版の解説

アセチルセルロース【acetylcellulose】

酢酸繊維素,セルロースアセテートcellulose acetate(略してアセテート)ともいう。セルロースの酢酸エステルである三酢酸セルロース(トリアセテート)と第二次酢酸セルロース(アセテート)の2種類が製造されている。1869年にフランスのシュッツェンベルジェP.Schutzenberger(1829‐97)がセルロースを無水酢酸と加熱して作ったのが始まりで,94年にイギリスのクロスC.F.CrossとベバンE.J.Bevanはそれに硫酸または塩化亜鉛を脱水剤として加えると速やかに反応が進行することを見いだした。

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