アタナシウス(読み)あたなしうす(その他表記)Athanasius

翻訳|Athanasius

デジタル大辞泉 「アタナシウス」の意味・読み・例文・類語

アタナシウス(Athanasius)

[298ころ~373]初期キリスト教の教父。アレクサンドリア司教。325年のニカイア公会議で、アリウス派を論駁ろんばく三位一体説を主張し、正統派神学の祖となった。

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精選版 日本国語大辞典 「アタナシウス」の意味・読み・例文・類語

アタナシウス

  1. ( Athanasius ) 初期キリスト教会の教父。アレクサンドリアの司教。ニカイア公会議でキリストが神そのものではないとするアリウスに対して三位一体説を唱え、「正統信仰の父」と呼ばれる。(二九五頃━三七三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アタナシウス」の意味・わかりやすい解説

アタナシウス
あたなしうす
Athanasius
(295ころ―373)

古代キリスト教会の教父。アレクサンドリアの司教。聖人。325年ニカイア公会議には助祭として司教アレクサンドロスAlexandros(250ころ―328)に随行し、ニカイア信条の確立に貢献した。イエス・キリストを第一の被造物とするアリウス説に対して、キリストはつくられずして生まれ、父なる神と本質を同じくするという主張を貫いた。328年同司教の没後、若くして後継者に選ばれたが、アリウス派の巻き返しと、これを擁護する国家権力弾圧によって、司教職46年間に五度も追放され、20年を流謫(るたく)の地で過ごした。彼の生涯は、正統信仰のための不屈の戦いであった。神学的著作の大部分は、アリウス派への反駁(はんばく)とニカイア信条の擁護にあてられている。主著『神の言の受肉』は、神が真の人性をとったことによって、人間は神の神性に参与することができ、そこに救いがあることを主張する。追放の地で修道者の師アントニウスAntonius(251ころ―356)を知り、『アントニウスの生涯』を著したが、これは広く愛読され、西方世界に修道生活を紹介するきっかけとなった。

[百瀬文晃 2017年11月17日]

『アダルベール・アマン著、家入敏光訳『教父たち――生涯と作品入門』(1972・エンデルレ書店)』『カペンハウゼン著、三小田敏雄訳『古代キリスト教思想家』(1963/オンデマンド版・2004・新教出版社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アタナシウス」の意味・わかりやすい解説

アタナシウス
Athanasius, Magnus

[生]293頃.アレクサンドリア
[没]373.5.2. アレクサンドリア
ニカイア公会議 (325) 時代の教父,聖人,教会博士。当時キリスト教会を2分したアリウス派異端との戦いにおいて正統教義を代表し,教会史上大きな役割を果した。プラトンアリストテレス,新プラトン主義,キリスト教学を若くして学び,のち司教アレクサンドロスに師事。ニカイア公会議にはアレクサンドロスに従って出席,アリウス派を論駁した。 328年アレクサンドリアの司教となる。その後も一貫して反アリウス主義の立場を取ったため,アリウス派から憎まれ,アリウスのアレクサンドリア帰還問題に端を発しコンスタンチヌス大帝によって第1回 (336~337) の追放を受けてから前後5回 17年に及んで追放の生活をおくった。第2回 (339~346) はローマの教皇ユリウス1世のもとに逃れ,ローマ教会とアタナシウス説が結合する結果を生む。その教理史的意義は三位一体説とロゴス・キリスト論にある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アタナシウス」の解説

アタナシウス
Athanasius Magnus

295?~373

古代キリスト教の教父アレクサンドリア教会の執事としてニケア教会会議に司教アレクサンドロスを助けて活躍し,名声をあげた。328年司教に就任,アリウス派に対抗し,三位一体説の擁護に努めた。アリウス派の巻き返しにより,皇帝からの追放は5回に及んだが屈しなかった。また彼の著『聖アントニウス伝』は,修道院生活の理想を描いて著名。

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