翻訳|Athanasius
古代キリスト教会の教父。アレクサンドリアの司教。聖人。325年ニカイア公会議には助祭として司教アレクサンドロスAlexandros(250ころ―328)に随行し、ニカイア信条の確立に貢献した。イエス・キリストを第一の被造物とするアリウス説に対して、キリストはつくられずして生まれ、父なる神と本質を同じくするという主張を貫いた。328年同司教の没後、若くして後継者に選ばれたが、アリウス派の巻き返しと、これを擁護する国家権力の弾圧によって、司教職46年間に五度も追放され、20年を流謫(るたく)の地で過ごした。彼の生涯は、正統信仰のための不屈の戦いであった。神学的著作の大部分は、アリウス派への反駁(はんばく)とニカイア信条の擁護にあてられている。主著『神の言の受肉』は、神が真の人性をとったことによって、人間は神の神性に参与することができ、そこに救いがあることを主張する。追放の地で修道者の師アントニウスAntonius(251ころ―356)を知り、『アントニウスの生涯』を著したが、これは広く愛読され、西方世界に修道生活を紹介するきっかけとなった。
[百瀬文晃 2017年11月17日]
『アダルベール・アマン著、家入敏光訳『教父たち――生涯と作品入門』(1972・エンデルレ書店)』▽『カペンハウゼン著、三小田敏雄訳『古代キリスト教思想家』(1963/オンデマンド版・2004・新教出版社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
295?~373
古代キリスト教の教父。アレクサンドリア教会の執事としてニケア教会会議に司教アレクサンドロスを助けて活躍し,名声をあげた。328年司教に就任,アリウス派に対抗し,三位一体説の擁護に努めた。アリウス派の巻き返しにより,皇帝からの追放は5回に及んだが屈しなかった。また彼の著『聖アントニウス伝』は,修道院生活の理想を描いて著名。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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