アボット(読み)あぼっと(英語表記)Jim Abbott

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アボット(Jim Abbott)
あぼっと
Jim Abbott
(1967― )

アメリカのプロ野球選手(左投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のカリフォルニア・エンゼルス(現ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)、ニューヨーク・ヤンキース、シカゴ・ホワイトソックス、ミルウォーキー・ブリュワーズで、投手として1989年から10年間活躍した。
 9月19日、ミシガン州のフリントに生まれる。生まれつき右手首から先のないという身体的なハンディキャップを克服、ミシガン大時代に通算26勝8敗の成績を残し、1987年にはアメリカのアマチュア・スポーツ選手に贈られるサリバン賞を野球選手として初めて受賞した。1988年にはティノ・マルチネスTino Martinez(1967― )(シアトル・マリナーズほか)、ロビン・ベンチュラRobin Ventura(1967― )(ホワイトソックスほか)らとオリンピック・ソウル大会のアメリカ代表に選ばれ、公開競技(当時)ながら強豪キューバを破り、金メダルを獲得した。同年、ドラフト1巡目(全体8番目)でエンゼルスに入団。1989年、マイナー・リーグを経ずに大リーグにデビューし、時速145キロメートル(最速)の速球と切れ味鋭いスライダーを武器に12勝12敗、防御率3.92の成績を残した。1991年には自己最多の18勝をあげた。翌1992年12月、交換トレードでヤンキースに移籍。1993年9月4日、対クリーブランド・インディアンス戦(ヤンキー・スタジアム)で強力な打線を5四球だけに抑え、1983年のデーブ・リゲッティDave Righetti(1958― )以来となる、ヤンキース史上8人目(ワールド・シリーズを含む)のノーヒットノーランを達成した。その後、ホワイトソックスを経て、エンゼルスに復帰するが、1996年にはコントロール難から2勝18敗、防御率7.48の不振に終わったため引退を決意。しかし、1998年にマイナー・リーグを経てホワイトソックスで2年ぶりの復活を果たし、5試合で5勝をあげて周囲を驚かせた。翌1999年ブリュワーズに移籍したが振るわず、シーズン途中で引退したが、自身初めての安打を記録して喝采(かっさい)を浴びた。
 10年間の通算成績は、登板試合263、投球回1674、87勝108敗、防御率4.25、奪三振888、完投31、完封6。[出村義和]
『ボブ・バーノータス著、武田薫訳『奇跡の隻腕ジム・アボット物語』(1996・ベースボール・マガジン社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

アボットの関連情報