太陽定数(読み)タイヨウテイスウ(英語表記)solar constant

デジタル大辞泉 「太陽定数」の意味・読み・例文・類語

たいよう‐ていすう〔タイヤウ‐〕【太陽定数】

地球太陽からの平均距離にあるときに受ける放射エネルギーの量。値は毎分1平方センチメートルあたり約1.96カロリーで、地上では大気吸収されて約半分となる。

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精選版 日本国語大辞典 「太陽定数」の意味・読み・例文・類語

たいよう‐ていすうタイヤウ‥【太陽定数】

  1. 〘 名詞 〙 大気がないと仮定して、太陽から平均距離にある日光に垂直な地表面が一平方センチメートル当たり一分間に受ける太陽エネルギー。その値は約一・九六カロリーである。太陽常数。

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改訂新版 世界大百科事典 「太陽定数」の意味・わかりやすい解説

太陽定数 (たいようていすう)
solar constant

地球と太陽の平均距離において,太陽光線に垂直な単位断面積当り単位時間に入射する太陽の放射エネルギー総量地球大気の吸収を避けて大気圏外で得られる値を採用する。最近の人工衛星SMMなどによるもっとも正確な値(1980測定)は,1.37kW/m2(1.96cal/cm2・min)であった。この値自身の誤差は0.05%程度と考えられているが,長期間,例えば黒点の11年周期にわたる変動については今後の測定を待たねばならない。大黒点群が出現するとその間太陽定数は0.1%ほど減少し,また白斑が多く現れると同じ程度逆に増加する。また黒点数が多いと放射エネルギーのうちとくに紫外線X線が増加するが,黒点に起因する可視光の放射エネルギーの減少のほうが太陽定数の変化にはるかに大きく寄与する。なお,波長0.34μm以下の紫外線・X線の太陽定数への寄与は5%,2.3μm以上の赤外線電波による寄与は4%である。太陽定数から球状の太陽全面が放射している総エネルギーを求めると3.85×1026W,単位面積当りでは6.33×107W/m2となる。後者の値は温度5780Kの黒体放射の出すエネルギー流束に等しく,この温度のことを太陽の有効温度という。なお,SMMの観測によると,太陽定数は約5分の周期で変化しており,その振動の大きさは太陽定数の値の100万分の5程度である。

 太陽定数のかなり正確な測定を1837年に最初に行ったプイエC.Pouillet(1790-1868)は,黒く塗った銀板に太陽光を吸収させ,その熱を水の温度上昇に変えて1.76cal/cm2・minという値を得ている。一方,43年ころA.J.オングストレームは,2枚の金属板の一方に太陽光をあて他方に電流を通して暖め,両者の温度が一致するときの電流値を測る方法を考案した。この二つの方法は引き続いて改良されながら用いられたが,上述の最新の測定は原理的には後者の方法を用いている。また,ロケットなどが使用される以前には,大気による吸収を各波長別に補正する作業が大きな比重を占めており,アメリカのスミソニアン天文台のC.G.アボットらは,現在の値に近いものを得ていた(1903-22)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太陽定数」の意味・わかりやすい解説

太陽定数
たいようていすう

太陽の放射エネルギーの目安となる量。太陽と地球との平均距離(1億4960キロメートル)の位置で、太陽光線に垂直に置いた面に入射する放射エネルギー量であらわす。1平方メートル当り1.37キロワットである。地上での放射エネルギーは、地球大気の吸収などのために太陽定数の約半分であり、1平方メートル当り約700ワットとなる。太陽の11年の周期活動に伴って変動し、活動の極大期には、約0.14%だけ大きくなる。この現象は太陽活動期に数多く現われる白斑(はくはん)が原因という説と、太陽のダイナモ作用の影響によるという説がある。

[日江井榮二郎]

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百科事典マイペディア 「太陽定数」の意味・わかりやすい解説

太陽定数【たいようていすう】

地球が太陽からの平均距離にあり,かつ地球大気の吸収がないとしたとき,太陽光線に直角な地表の単位面積に単位時間当たり入射する太陽放射エネルギー量。1.37kW/m2。日により年によって変動がある。太陽活動や地球の熱収支を調べる基礎量。
→関連項目アルベド太陽熱太陽放射日射

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太陽定数」の意味・わかりやすい解説

太陽定数
たいようていすう
solar constant

地球上において,太陽光に垂直におかれた単位面を通過する太陽光のエネルギー量。地球と太陽間の距離は季節により変化するので,その平均距離での値をとる。また,地球大気吸収がない場合の値をとる。1分間に 1cm2 の面積を通過するエネルギーをカロリーで表わす。その値は,
である。太陽定数は太陽熱量計を用いて測定される。地球大気による太陽光の吸収や散乱の影響を避けるため,最近ではロケットや人工衛星によって大気圏外に出て直接太陽エネルギーの値を測定できるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の太陽定数の言及

【太陽】より

…平均として水よりも比重が大きいのに,太陽全体がガス体であるのは,非常な高温のためである。
[太陽定数]
 気温の日変化や年変化は太陽と地球上のある地点との相対位置の変化によるものであり,その間太陽の放射量自体はいっこうに変化していない。また黒点の増減による変化も微々たるものにすぎないことが長年の観測によって知られている。…

※「太陽定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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