ギルフォード(その他表記)Guildford

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギルフォード」の意味・わかりやすい解説

ギルフォード
Guildford

イギリスイングランド南東部,サリー県西部の都市。周辺を含めてギルフォード地区を構成する。ロンドン南西約 44kmにあり,テムズ川支流ウェー川に臨む。アングロ・サクソン時代には王室荘園となっていた古い町で,最古の勅許状は 1257年に出された。歴史的な建造物が多数現存し,ノルマン朝以前の塔をもつ聖メアリー聖堂,チューダー朝の王立グラマー・スクール(1509),養老院(1619),ギルフォードハウス(1660)などがある。ホーリースピリット大聖堂(1936~68)は宗教改革以後新しく建てられたイングランド 2番目のアングリカン・チャーチの大聖堂である。主産業は工業で,第2次世界大戦前から自動車工業が立地するほか軽工業が発展。学術,文化の中心地で,サリー大学(1966)をはじめとする高等教育機関や,劇場,博物館などがあり,交響楽団をもつ。地区面積 271km2。地区人口 12万9717(2001)。都市人口 6万9400(2001)。

ギルフォード(男・伯家)
ギルフォード[だん・はくけ]
Guilford, Barons and Earls of

イギリスの貴族家柄ノース家が継承。4代ノース男爵ダッドリー・ノース (1602~77) の子で,法務長官,民訴裁判所主席判事,大法官をつとめた法律家フランシス (37~85) が,1682年男爵位を授けられたのに始る。3代フランシス (1704~90) は,1753年伯爵に昇格。その子の2代伯は首相をつとめた F.ノース。彼のあとは3人の子が次々に継承。長男の3代伯ジョージ・オーガスタス (57~1802) は秘書として父を助け,次子の4代伯フランシス (1761~1817) は軍人としての経歴を途中でやめて劇作家になった。末子の5代伯フレデリック (1766~1827) は生涯古代ギリシア文化の普及に努めるとともに,公生活ではロンドン港関税官,セイロン総督などをつとめた。

ギルフォード
Guilford, Joy Paul

[生]1897.3.7. ネブラスカ,マーケット
[没]1987.11.26. ロサンゼルス
アメリカの心理学者。南カリフォルニア大学教授。精神測定法および知能構造に関する研究で著名。主著『精神測定法』 Psychometric Methods (1936) ,『人間の知能の本質』 The Nature of Human Intelligence (67)。

ギルフォード

「ダッドリー家」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギルフォード」の意味・わかりやすい解説

ギルフォード
ぎるふぉーど
Joy Paul Guilford
(1897―1987)

アメリカの心理学者。ネブラスカ州の生まれ。ネブラスカ大学を経てコーネル大学に学びティチナーのもとで博士号をとった。ネブラスカ大学を経て南カリフォルニア大学教授。おもな研究領域は精神測定法の研究であり、因子分析法を用いて知能、向性、適性、人格などの研究を行っており、知能については情報の内容、情報の所産、心理的操作の三次元からなる120の因子をもった構造を考えた。日本では、彼が作成した人格目録に基づいて心理学者の矢田部達郎(たつろう)がつくった矢田部‐ギルフォード・テスト(Y‐G検査)がよく知られている。著書に『精神測定法』(1936)などがある。

[宇津木保]

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改訂新版 世界大百科事典 「ギルフォード」の意味・わかりやすい解説

ギルフォード
Joy Paul Guilford
生没年:1897-1987

心理測定法など,統計的・数理的手法で知られるアメリカの心理学者。1927年コーネル大学で学位を得,現在南カリフォルニア大学名誉教授。因子分析法を用いて,知能および性格に独自のモデルを提唱。拡散的思考,収束的思考などの知能構造論は,創造的思考の研究に多くの示唆を与えた。また客観性など13に分類された性格特性は,矢田部=ギルフォード検査の母体となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のギルフォードの言及

【知能】より

…一方,多因子説の代表者は,サーストンL.L.Thurstoneで,数,語の流暢さ,言語理解,記憶,推理,空間,知覚的速さの七つの特殊因子を,知能の基本的能力とみなし,一般因子は特殊因子から抽出された二次的因子にすぎないと主張している。なお,操作,所産,内容の三つの次元を持つ理論模型から,120個の知能因子を仮定したギルフォードJ.P.Guilfordの知性構造論も,多因子説の中に含めることができる。この説は,従来の知能理論で見落とされていた領域の知能を取り上げているだけでなく,未発見の知能因子も予言しているという点で,注目されている。…

【知能】より

…一方,多因子説の代表者は,サーストンL.L.Thurstoneで,数,語の流暢さ,言語理解,記憶,推理,空間,知覚的速さの七つの特殊因子を,知能の基本的能力とみなし,一般因子は特殊因子から抽出された二次的因子にすぎないと主張している。なお,操作,所産,内容の三つの次元を持つ理論模型から,120個の知能因子を仮定したギルフォードJ.P.Guilfordの知性構造論も,多因子説の中に含めることができる。この説は,従来の知能理論で見落とされていた領域の知能を取り上げているだけでなく,未発見の知能因子も予言しているという点で,注目されている。…

※「ギルフォード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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