アルカリ長石(読み)アルカリチョウセキ(その他表記)alkali feldspar

最新 地学事典 「アルカリ長石」の解説

アルカリちょうせき
アルカリ長石

alkali feldspar

KAlSi308-NaAlSi308-CaAl2Si208長石系におけるKAlSi308-NaAlSi308系列長石の総称(固溶体系列名)(Deer et al., 2001)。SiO4四面体が網目状(立体的)につながる原子配列の隙間に,SiのAlによる置換で生ずる電荷のアンバランスをなくすために主としてアルカリ元素(KとNa)が入る結晶構造。アルカリ長石には,高温型から順次に 低温型へ, 1)高温型サニディン-高温型アルバイト, 2)低温型サニディン・アノーソクレース-高温型アルバイト, 3)正長石-低温型アルバイト, 4)(中間型〜低温型)微斜長石-低温型アルバイトの4多形系列が区分。これらの多形関係は, Si-Alの配列状態(Si-Al ordering)に対応し,4配位席(T席)でのAlの割合がその割合の指標。無秩序配列のサニディンと秩序配列の微斜長石が安定相。正長石は両者の中間相であり, 対称性は単斜晶系にとどまりながらSi-Alの秩序化が進んでいる準安定相。ほぼアルカリ長石全組成域にわたるソルバス(ドーム状曲面)が存在するので,ほとんどのアルカリ長石は電子顕微鏡サイズのクリプトパーサイト(cryptoperthite)(火山岩中:高温型アルカリ長石)あるいは顕微鏡サイズ以上のパーサイト(microperthite)(花崗岩類ほかで一般的:低温型アルカリ長石)に相分離している。アルカリ長石は,重要な造岩鉱物であるが,これまでアルカリ長石と表記すべき場合にも伝統的・慣習的にカリ長石と表記されているので注意が必要。深成岩中のアルカリ長石は大なり小なり熱水(変質)反応を受けている。アルカリ長石の赤色の色合いは,微細赤鉄鉱結晶の多寡たかと微小空孔の多寡によって決まる。水酸化鉄鉱物の色に起因するのは橙色系。いずれも低温熱水変質反応産物。アマゾナイトamazonite:天河石)と呼ばれているアルカリ長石(正長石〜微斜長石パーサイト)の青(〜緑)色は,主にPbによる。参考文献中野聰志ほか(2023) 岩石鉱物科学,Vol. 52, gkk.221005

執筆者:

参照項目:カリ長石
参照項目:長石

出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アルカリ長石」の意味・わかりやすい解説

アルカリ長石 (アルカリちょうせき)
alkali feldspar

鉱物の一種。ナトリウム長石NaSi3AlO8,カリ長石KSi3AlO8とその中間組成の長石であるアノーソクレースanorthoclaseとの総称。ナトリウム長石の高温型は単斜アルバイト,中低温型はアルバイトalbite(曹長石)であり,カリ長石の高・中・低温型は,それぞれ,サニディンsanidine(ハリ長石),正長石,マイクロクリンmicrocline(微斜カリ長石,微斜長石)である。単斜アルバイト,アノーソクレース,サニディンおよび正長石は単斜晶系に属し,連続固溶体を形成しているが,アルバイトおよびマイクロクリンは三斜晶系に属し,互いの溶解度は小さい。マイクロクリンまたは正長石の結晶中に,おもに板状を呈すアルバイト結晶が含まれることがあり,これをパーサイトperthite(ペルト長石)という。かなり薄い板状のアルバイトを含むパーサイトでは可視光線を回折して美しい虹色を呈することがあり,これを月長石(ムーンストーン)という。

 アルカリ長石の結晶形態は,a軸やc軸方向に伸びた柱状であったり,{010}に平行な板状であったり,菱形状であったりするが,カリ長石で{110}面が顕著に発達することがあり,この自形結晶が氷長石である。アルカリ長石は石英や斜長石と共に地球の地殻を構成するおもな鉱物であり,火成岩変成岩や堆積岩などの多くの岩石中に普通にみられる。とくに花コウ岩中には大量に含まれており,ペグマタイトには巨大なアルカリ長石の単結晶が存在する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルカリ長石」の意味・わかりやすい解説

アルカリ長石
アルカリちょうせき
alkali feldspar

カリ長石 KAlSi3O8 とナトリウム長石 NaAlSi3O8 の固溶体系列に属する長石類の総称。ケイ素とアルミニウムの配列に関し,低温では完全秩序であるが,高温になると完全無秩序となる。アルカリ長石はカリウム,ナトリウムの端成分と秩序化の程度によって区分される。カリ長石には高温型玻璃長石 (800℃以上,完全無秩序) ,玻璃長石 (800~650℃,秩序化進行) ,正長石 (650~300℃,さらに秩序化) ,微斜長石 (300℃以下,完全秩序) があり,ナトリウム長石の曹長石にも3つの型がある。カリウムとナトリウムは高温では容易に置換してカリ長石とナトリウム長石の間に連続固溶体系列ができる。種々の酸性火成岩や変成岩中から産出する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルカリ長石の言及

【正長石】より

…正長石は深成岩や比較的高温の変成岩によく見られる。カリ長石はアルバイトとの間に固溶系列をつくり,アルカリ長石と総称される。高温サニディン,サニディン,正長石は単斜晶系に属するが,マイクロクリンはSiとAlの秩序化が進んだため三斜晶系である。…

【長石】より

…天然に産する長石は,ほとんどCaAl2Si2O8(アノーサイト,An),NaAlSi3O8(アルバイト,Ab),KAlSi3O8(カリ長石,Or)を端成分とする三成分系に属し,その組成はOrxAbyAnz(xyz=100)のように表現される。アノーサイトとアルバイトの間の固溶系列を斜長石,アルバイトとカリ長石の間の固溶系列をアルカリ長石と呼ぶ。またカリ長石とアノーサイトの間の固溶系列は,天然には見いだされていない。…

※「アルカリ長石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...

春隣の用語解説を読む