コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

アルコール性肝障害 あるこーるせいかんしょうがいAlcoholic Liver Disease

3件 の用語解説(アルコール性肝障害の意味・用語解説を検索)

家庭医学館の解説

あるこーるせいかんしょうがい【アルコール性肝障害 Alcoholic Liver Disease】

◎飲酒で肝臓の細胞が変化
[どんな病気か]
 肝臓にとってアルコールは、処理が義務づけられている薬物の1つです。
 このため、アルコールが体内に入ってくると肝臓は、アルコールがゼロになるまで代謝(たいしゃ)し、分解し続けます。
 ところで、アルコールを代謝・分解する際には、さまざまな要因が加わって、栄養素を代謝するときとは異なるはたらきや形の変化が、肝臓を構成する細胞(肝細胞(かんさいぼう)、類洞壁細胞(るいどうへきさいぼう))におこります。
 この変化は一過性のもので、アルコールがゼロになれば正常な状態にもどるのですが、大量のアルコールを飲むほど、長時間、肝臓の細胞の変化が続くことになります。
 毎日、大量のアルコールを飲み続けると、アルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素(だっすいそこうそ)とミクロソーム酸化酵素の2種類あるうちの後者)のはたらきが活発になり、より多量のアルコールを飲めるようになります。
 その結果、肝臓の細胞の変化が恒常的に続くようになり、ついには、肝細胞の変性・壊死(えし)と、細胞間質細胞(さいぼうかんしつさいぼう)の線維化(せんいか)がおこり、肝臓のはたらきが衰えてきます。
 これがアルコール性肝障害で、おもにアルコール性脂肪肝(せいしぼうかん)、アルコール性肝線維症(せいかんせんいしょう)、アルコール性肝炎アルコール性肝硬変(せいかんこうへん)の4つの状態があります。
 アセトアルデヒドを処理できない人(アルデヒド脱水素酵素(だっすいそこうそ)2型欠損者(けっそんしゃ))は、お酒を飲めないので、通常、アルコール性肝障害になることはありません。
 しかし、なかには、少量であればアルコールを飲める人がいます。これは、アルデヒド脱水素酵素2型の部分的欠損者です。こういう人が常習飲酒者になると、アルデヒド脱水素酵素2型を完全にもつ人よりも、より少ない量で、アルコール性肝障害が発症してきます。
アルコール性脂肪肝(せいしぼうかん)
 中性脂肪トリグリセリド)が、肝細胞内に蓄積した状態です。
●原因
 肝臓が、アルコールの処理を優先して脂肪の代謝を後回しにするために、代謝されない脂肪が肝細胞にたまります。
●症状
 症状のないことが多く、検査での高脂血症の存在、γ(ガンマ)‐GTPやGOT上昇などで発見されることが多いものです。右上腹部鈍痛、食欲不振や吐(は)き気(け)がみられることもあります。
 確定診断は、生検(せいけん)で肝細胞への脂肪の沈着を証明することですが、腹部の超音波検査やCTでも脂肪肝が見つかり、診断できます。
●治療
 禁酒を守れば脂肪の代謝が改善され、完治します。
アルコール性肝線維症(せいかんせんいしょう)
 常習の飲酒によって類洞壁細胞の1つ(伊東細胞または星細胞)が活性化して線維が増殖してきた状態です。日本ではこの状態を示すアルコール性肝障害が多くなっています。
●治療
 禁酒によって病気の進行を阻止することができます。
 高たんぱく・高ビタミン食事療法と肝庇護剤(かんひござい)(パンテチングルタチオンなど)の服用が必要なこともあります。
アルコール性肝炎(せいかんえん)
 肝細胞の変性・壊死に炎症性の変化をともなっている状態です。
●症状
 症状の軽い人から劇症肝炎(げきしょうかんえん)のような重い症状を示す人までさまざまです。多くの場合大量飲酒が連続したときに発症し、入院を必要とします。
 ふつう、全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん)、食欲不振、吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)、黄疸(おうだん)、肝臓の腫(は)れなどの急性肝炎に似た症状のほか、発熱などの炎症症状、腹痛・下痢(げり)などの消化器症状をともないます。
 重症になると、ひどい全身倦怠感・吐き気・嘔吐、吐血、意識障害、高度の黄疸、出血傾向(出血しやすい)、腹水(ふくすい)などが現われます。
 劇症肝炎のような経過をとって、1か月以内に死亡することもあります。
●検査と診断
 血液検査を行なうと、白血球(はっけっきゅう)の増加がみられ、血小板(けっしょうばん)が減少し、ビリルビンが高値を呈します。またGOTが高く、GPTの上昇は比較的軽度である傾向を示します。
 出血傾向がみられ、プロトロンビン時間が延長します。
 重症例では急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)(肝腎症候群(かんじんしょうこうぐん))をともなうこともしばしばです。
●治療
 禁酒を行なったうえで、安静を保ち、輸液で脱水と電解質異常を改善します。
 劇症肝炎の状態では、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬(ステロイド)の使用、グルカゴン・インスリン療法、血漿交換(けっしょうこうかん)などが必要になります。多くの場合、治癒(ちゆ)後もアルコール依存症の治療が必要となります。
アルコール性肝硬変(せいかんこうへん)
 過度の飲酒が原因でおこった肝臓病の終末像です(「肝硬変」)。
 男性は日本酒換算5合以上20年で、女性は3~5合以上約10年で肝硬変になる危険性があります。
 女性は、男性に比べると、少量で、しかも短い飲酒期間でおこってきます。
 大酒家の肝硬変の約半数に肝炎ウイルス、とくにC型肝炎ウイルスの持続感染の合併がみられます。この場合、アルコールだけが原因でおこった肝硬変よりも肝がん発生の危険率が高くなります。
●治療
 禁酒を守り、ほかの肝硬変と同じように治療します(「肝硬変」)。

出典|小学館
家庭医学館について | 情報

百科事典マイペディアの解説

アルコール性肝障害【アルコールせいかんしょうがい】

過剰飲酒によって,肝障害及び栄養障害が引き起こされた状態。障害の程度によって,軽い方から,脂肪肝,肝繊(線)維症,肝炎肝硬変の四つに分類される。個人差はあるが,一般的に1日70g前後(日本酒3合相当)を5年以上続けると発生するとされ,重症度は飲酒量と飲酒期間にほぼ比例する。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
百科事典マイペディアについて | 情報

食の医学館の解説

あるこーるせいかんしょうがい【アルコール性肝障害】

《どんな病気か?》
〈飲みすぎが長期にわたり続いている人は要注意
 肝臓(かんぞう)は、アルコールの代謝(たいしゃ)(アルコールを分解して毒性をなくし、体外へ排出する働き)を受けもつ唯一の臓器です。しかも体内にアルコールが入ってくると、糖質や脂質、たんぱく質などほかの成分に優先して、まっさきにアルコールの処理を行います。
 長時間にわたりアルコールの代謝・分解を強いられると、肝臓の細胞に変化が続き、壊死(えし)と線維化が起こって肝機能が低下します。
 これがアルコール性肝障害(かんしょうがい)で、まず脂肪肝(しぼうかん)が起こり、悪化すると肝線維症(かんせんいしょう)、肝炎(かんえん)、肝硬変(かんこうへん)へと進行していきます。
 原因はただ1つ、常習的な過度の飲酒です。症状としては、食欲不振や吐(は)き気(け)、腹痛、倦怠感(けんたいかん)などがあり、黄疸(おうだん)やふるえ、意識障害、腹部に水がたまってふくれる腹水(ふくすい)なども起こります。
《関連する食品》
〈ゴマの成分セサミンがアルコールの分解をうながす〉
○栄養成分としての働きから
 アルコール性肝障害では、断酒をして、食事療法で肝機能を回復させることが大前提です。
 肝硬変で肥満や糖尿病(とうにょうびょう)を合併している場合は、過食に注意し、体重を減らす必要がありますが、それ以外では、症状が安定していれば高エネルギー食が基本です。ただし、この場合も、体脂肪をふやしやすい動物性脂肪はひかえます。
 かたよりなく多品目の食品を適量とり、各種ビタミンを補充することがたいせつで、とくに飲酒によって失われやすいビタミンB1を十分に摂取します。
 ビタミンB1は糖質の代謝に働き、不足すると脳の中枢神経(ちゅうすうしんけい)や、手足の末梢(まっしょう)神経の機能がそこなわれるため、しびれやむくみ、かっけ、イライラなどの神経障害が起こりやすくなります。B1は豚肉に多く含まれていますが、動物性脂肪はよくないので、脂肪分の多いばら肉は避け、赤身のもも肉やひれ肉など、脂(あぶら)の少ない部位を選びましょう。納豆やキノコ類もB1が豊富です。
 このほか、肝機能を強化することで知られるタウリンも有効です。
 タウリンは、カキ、タコ、イカといった海産物に、豊富に含まれています。
 また、ゴマに含まれる成分、セサミンには、アルコールの分解をうながし、肝臓の働きをサポートする作用があります。酒好きの人は、肝障害が現れていなくても、ふだんから意識的にとるようにするといいでしょう。

出典|小学館
食の医学館について | 情報

今日のキーワード

稀勢の里寛

1986- 平成時代の力士。昭和61年7月3日生まれ。中学卒で鳴戸部屋に入門し,平成14年3月初土俵。16年5月新十両,同年11月には18歳4ヵ月で新入幕をはたす。18年7月新三役小結,21年3月新関...

続きを読む

コトバンク for iPhone

アルコール性肝障害の関連情報