精選版 日本国語大辞典 「脂肪肝」の意味・読み・例文・類語
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肝臓はたくさんの肝細胞の集合体ですが、
しかし、このような変化が一部の人では
他方、急性に発症するものにはライ症候群や急性妊娠性脂肪肝がありますが、いろいろな原因により生じる全身のミトコンドリアの機能不全が原因といわれ、死亡率が高いのが特徴です。
脂肪肝は、原因により栄養性、内分泌性、代謝性、中毒性に分類されます。慢性の脂肪肝は、食欲不振症のように高度の
全身のミトコンドリア機能不全で生じる脂肪肝では意識障害が生じることが多いのですが、慢性に生じる脂肪肝には通常、自覚症状はありません。
ライ症候群や急性妊娠性脂肪肝の診断は臨床所見に基づくことが多く、重い病気で死亡率が高いので、すみやかな治療が必要です。
処方箋を必要としない市販薬(OTC薬:オーバー・ザ・カウンター・ドラッグ)でも、重症肝障害を来すことがあるので注意が必要です。
慢性の脂肪肝については、腹部超音波検査により肝腎コントラストの増強、深部エコーの減弱などを指標に肝臓の脂肪化を検査します。肝臓の脂肪化が見つかれば、腹部CT検査で肝臓のCT値と
単なる脂肪肝か非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(コラム)かを知るためには、肝生検といって、肝臓の組織検査をする必要があります。
カロリーの制限と運動量の増加が大切です。予後は合併症の有無により大きく変わります。NASH、糖尿病、高脂血症、高血圧の合併がないかどうかを確認し、飲酒量もチェックしてみます。
病状の正しい評価が必要です。生活習慣病では合併症が多岐にわたることが多く、診療科を選ぶ場合に混乱が生じやすいので、家庭医に相談して合併症に応じた専門医を紹介してもらうことが大切です。
西原 利治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
正常な肝組織中にはリン脂質、中性脂肪、コレステロールなどの脂質が含まれているが、脂肪肝は肝細胞中に中性脂肪が蓄積することにより肝の中性脂肪が異常に増加した状態である。成因によって、アルコール性、過栄養性、内分泌性(糖尿病やクッシング症候群)、薬物性(コルチコステロイド、テトラサイクリンなど)、妊娠性などがある。このほか、コレステロールやリン脂質脂肪肝のような特殊型脂肪肝もある。なお、アルコール過飲や栄養不適による脂肪肝は、脂肪性肝硬変の原因となる。
肝細胞の中性脂肪が増加する機序は、一般に末梢(まっしょう)脂肪組織の脂肪酸が動員されて肝に集まり、中性脂肪の生成が増えること、また中性脂肪の利用が不十分となり、さらにリポタンパクの合成不足によって、超低比重リポタンパク(VLDL)として肝外へ出ることが障害されることによる。
脂肪肝の自覚症状は軽度の全身倦怠(けんたい)感、疲労感を訴えることがあるが、まったくないこともあり、健康診断や偶然の機会に発見されることが多い。肥満、アルコール過飲、高カロリー輸液、糖尿病、ステロイドなどの薬物投与、妊娠後半期におけるテトラサイクリン投与歴などに注意する。なお、小児に脳症を伴う脂肪肝があり、ライReye症候群とよばれる。診断は肝機能検査、画像検査、肝生検を総合して行う。血清トランスアミナーゼ(AST、ALT)の軽度上昇、コリンエステラーゼの高値などがあると、腹部エコーで肝にびまん性(病変あるいはその状態が、一か所ではなく広範囲に広がっているようす)の高い反射があり、CTスキャンではびまん性の低密度を認めることで診断が可能であるが、確認は肝生検による。過栄養性脂肪肝と慢性肝炎との鑑別診断は重要で、困難な場合もある。予後は妊娠脂肪肝、ライ症候群を除くとよい。
脂肪肝のなかに、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という病気がある。飲酒しない(1日1合以下)にもかかわらず、アルコール性肝炎と同じく肝細胞の変性(風船様の肝細胞膨化、マロリー小体)と炎症による好中球細胞浸潤と線維化などが肝臓に生じる。肝硬変に進行するとともに、肝細胞癌(がん)を併発することもある。原因は、メタボリック症候群(肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症など)や薬物(タモキシフェンなど)、低栄養状態による。診断は、脂肪肝があることを肝機能検査や腹部超音波検査、CTで知るとともに、最終的には肝生検による。治療は、食事療法と運動療法を含む生活習慣の改善や原因となる薬物の中止などによる。
[太田康幸・恩地森一]
摂取カロリーの目安は、標準体重1kgあたり、20~25kcal。以下を参考に、標準体重を計算し、そのうえで摂取カロリーを計算してください。また、著しい肥満の場合には、標準体重1kgあたり20kcalが目安です。
〈適正エネルギーの簡易算出法〉
適正エネルギー量(kcal)=生活活動強度指数×標準体重(kg)
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
*生活活動強度とは、Iが散歩、買い物程度のゆっくりした歩行1時間以内。IIが通勤、立位の業務などを2時間以内。IIIはIIの生活をしている人が1日1時間程度の速歩、サイクリングなどを行っているか、農作業、漁業などの運動強度の高い業務を1時間程度行っている場合。IVはそれ以上となります。
*また、生活活動強度指数については以下を参照してください。[年齢/I(低い)/ II(やや低い)/ III(適度)/ IV(高い)]の形で示しています。
・18~29歳/男31 女31/男36 女35/男41 女40/男46 女45
・30~49歳/男29 女28/男33 女33/男38 女37/男42 女41
・50~69歳/男28 女27/男32 女31/男37 女35/男41 女39
・70歳~/男28 女27/男32 女31/男37 女35/男41 女39
肝臓における脂肪の代謝障害により,個々の肝細胞内に脂肪,おもに中性脂肪が異常に蓄積する状態。肝臓の生検を行って染色標本を顕微鏡で観察すると,細胞内に沈着した脂肪が空胞状にぬけて見える(肝細胞脂肪変性)。通常,観察しうる細胞の50%以上にこのような変性をみとめるものを脂肪肝と呼ぶが,ひどい場合には,ほとんど全細胞に及ぶ。原因としては,肥満(栄養過多),糖尿病,飲酒過剰(これをアルコール性脂肪肝という),薬物毒性などがあるが,一方,高度の栄養障害(タンパク質欠乏,吸収不良)によっても生じる。すなわち,脂肪摂取過剰,肝細胞内での脂肪酸の産生亢進,脂肪酸酸化障害,リポタンパク質の産生,分泌の障害などが脂肪肝の発生に関連している。症状は慢性肝炎様であり,高度のものでは,まれに黄疸が出ることもある。多くは,栄養状態の改善,原疾患の治療,原因除去(禁酒,薬物の中止)により改善するが,長く続くと,肝臓の血流障害,肝細胞の壊死,繊維化を招き,肝硬変へと進行することもある。
執筆者:松崎 松平
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…十分な栄養とは,一般的に35~40kcal/kg,タンパク質80~100g,脂肪40~60g,および高ビタミンをいう。過度の高カロリーは,かえって脂肪肝を引き起こす。急性肝炎の治療に各種の薬剤が使用されるが,その根拠は,多くは慢性肝炎に対する二重盲検法による有効性にもとづいている。…
※「脂肪肝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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