フランスのストラスブールに生まれ、ドイツ、フランスで活躍した画家、彫刻家、詩人。初めはドイツ・ロマン派の影響下に詩作を試みるが、1905年以降ワイマール、パリの美術学校に学び、1912年「青騎士」に参加。1916年にチューリヒ・ダダの創設に加わり、1920年にはケルン・ダダを展開する。さらに1920年代なかばからはパリでシュルレアリスム運動に参加し、1931年に「抽象―創造」の設立に関与するなど、一連のアバンギャルド芸術運動において中心的な役割を果たした。絵画、コラージュ、彩色レリーフ、彫刻と多様な作品を手がけたが、その特質は生命の自然生成を基本とした柔らかな有機的形体にある。「芸術は、人間の内部で成長する果実である」という彼のことばは、いわゆる抽象的な形体を創造しながらも、自作をあくまでも「具体的」なものと考えていた彼の制作理念を物語っている。
[千葉成夫]
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ドイツに生まれ,フランスで活躍したダダおよびシュルレアリスムの代表的な画家,彫刻家。仏名ジャン・アルプJean Arp。シュトラスブルクに生まれ,生地とワイマール,パリで美術を学んだ後,詩作を始めた。1909年スイスへ行き,15年ゾフィー・トイバーと結婚,夫妻で実験的な立体構成やコラージュを試みる。16年チューリヒでダダの結成に参加し,20年からマックス・エルンストらとケルンでダダ運動を展開。27年シュルレアリスムに,31年〈抽象・創造〉グループに加わる。一貫して自然の元素的なかたちを単純化して表現した。作風は有機的な抽象だが,本人は〈具体芸術〉と呼ぶ。〈われわれは再生産するのではなく,果実を生みだす植物のように生産しよう〉という。文章や詩も多く,《わが道をゆく》(1948)や著述のすべてを集めた《葉をつまれた日々》(1966)などがある。バーゼルで没。
執筆者:岡田 隆彦
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…州都アルトドルフAltdorf。アルプス中央のザンクト・ゴットハルトSankt Gotthardt(サン・ゴタールSaint Gothard)峠の北側登口にあって,南ドイツと北イタリアを結ぶ交通の要路上にある。ウーリの歴史はこのアルプス越えの重要峠と不可分の関係をもつ。…
…デュシャンは13年以後,量産の日用品を加工も変形もせず作品化する〈レディ・メード〉で,一品制作の手仕事による個性やオリジナリティの表現という,近代芸術の理念にアイロニカルな批判をつきつけ,ピカビアの〈無用な機械〉と名づけた立体や絵画も,機械のメカニズムをとおして人間や芸術を冷笑した。第1次大戦中におこったダダは,これらの実験を総合し,アルプやハウスマンの木片のレリーフ状オブジェや,シュウィッタースのがらくたを寄せ集めた〈メルツMerz〉,エルンストの額縁に入った金庫のようなレリーフ状作品などで知られる。ロシア,オランダの構成主義の,幾何学的構成物も見のがせない。…
※「アルプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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