アレルギー疾患対策基本法(読み)アレルギーシッカンタイサクキホウホウ

デジタル大辞泉 の解説

アレルギーしっかんたいさく‐きほうほう〔‐シツクワンタイサクキホンハフ〕【アレルギー疾患対策基本法】

アレルギー性疾患への対策充実させるため、国が基本的な指針策定し、重症化予防医療機関整備患者生活の質向上研究推進などの施策を講じることを定めた法律。平成26年(2014)公布アレルギー対策基本法

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アレルギー疾患対策基本法
あれるぎーしっかんたいさくきほんほう

急増するアレルギー疾患に対する対策の充実を図るため、国や地方自治体、医師および医療関係者、学校関係者、さらに医療保険者、国民などの責務を明らかにし、国が具体的な計画を策定し推進することを義務づける法律。平成26年法律第98号。基本的施策として、アレルギー疾患の重症化の予防および症状軽減、アレルギー疾患医療の均霑(きんてん)化(地域格差の解消)の促進、アレルギー疾患をもつ者の生活の質の維持向上、アレルギー疾患研究の推進を掲げている。

 「アレルギー疾患」とは、入り込んだ異物を排除しようと働く生体の免疫反応が、ときに生体に有害な局所的または全身的反応を呈し、その結果として病気がもたらされるものをいう。この法律では、気管支喘息(ぜんそく)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーその他の疾患と定義されており、じんま疹(しん)なども含まれる。

 それぞれの責務としてあげられるものは、以下の通りである。国は、患者・家族や医療関係者および学識経験者などで構成される「アレルギー疾患対策推進協議会」の意見をもとに、達成時期を決めて「アレルギー疾患対策推進基本計画」を策定、進捗(しんちょく)状況について公表し、5年ごとに検討して必要なら計画を変更する。都道府県は、アレルギー疾患医療の提供の状況などを踏まえ、当該地域のアレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定する。医療保険者は、アレルギー疾患の重症化の予防および症状の軽減に関する啓発や知識の普及などに協力する。医師や医療関係者は、アレルギー疾患の重症化の予防および症状の軽減につながる良質かつ適切なアレルギー疾患医療を行う。学校や高齢者施設および障害者施設関係者は、アレルギー疾患をもつ児童や高齢者および障害者へ、適切な医療的、福祉的または教育的配慮をする。また国民は、正しい知識をもとにアレルギー疾患の重症化の予防および症状の軽減に必要な注意を払い、患者について正しい理解を深めるよう努める。また具体的施策として、アレルギー疾患の重症化を予防して症状の軽減につながる医療を適切に提供するために、専門医療・福祉従事者の育成、医療機関の整備、学校関係者などの研修、相談体制の整備、迅速な医療資源の提供、さらに生活環境の改善のために大気汚染の防止、アレルギー食品の表示の充実などを盛り込んでいる。

[編集部 2016年8月19日]

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