アングロ・サクソン語 (アングロサクソンご)
Anglo-Saxon
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アングロ・サクソン語
あんぐろさくそんご
アングロ・サクソン人がグレート・ブリテン島に渡ったのは5世紀中ごろからであるが、記録に残る最古の英語は700年ごろのものである。そのころから1100年ごろまでの英語をアングロ・サクソン語というが、今日では古英語Old Englishというのが普通である。北部のノーサンブリア方言Northumbrian、中部のマーシア方言Mercian、南西部のウェスト・サクソン方言West Saxon、南東部のケント方言Kentishの4方言に分けられ、前二者をまとめてアングリア方言Anglianとよぶ。
現存する文献の大部分はウェスト・サクソン方言のものである。8世紀末以降のスカンジナビア人の侵略によって、北部、中部の文献の多くが失われたからである。すでに9世紀前半にウェセックス王国の勢力がイギリス全土に及ぶようになるが、9世紀後半にアルフレッド大王がスカンジナビア人を撃退して学芸の復興に努めるとともに、ウェスト・サクソン方言は標準的文語の地位を獲得した。ラテン語からの翻訳、年代記編纂(へんさん)が行われ、アングリア方言で書かれていた詩もこの方言に転写された。しかし近代標準英語はその直系ではなく、アングリア方言の特徴を多く受け継いでいる。アングロ・サクソン語は現代英語と発音も大いに異なり、屈折が豊富でドイツ語に似ている。また語彙(ごい)はほとんどゲルマン系で、後の時代と比較すると、外来語は非常に少ない。
[小野 茂]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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「アングロサクソン語」の意味・わかりやすい解説
アングロ・サクソン語【アングロサクソンご】
ほぼ700年―1100年ごろの英語。古英語とも。ジュート人,サクソン人,アングル人がグレート・ブリテン島に定着してからノルマン・コンクエストまでの言語。屈折の豊かな語形変化が特徴で,ラテン系借用語は少ない。ノーサンブリア,マーシア,西サクソン,ケントの4方言に区分される。叙事詩《ベーオウルフ》が代表的文献。→アングロ・サクソン人
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のアングロサクソン語の言及
【英語】より
…
[古英語]
Old English,略称OE。イングランドに渡来したゲルマン族がアングロ・サクソン人と総称されたことから[アングロ・サクソン語]とも呼ばれる。OEの時代区分については,OEが記録として現れるのが7世紀末なので,700年をOEの始めとする見方もあり,またOEで書かれた《[アングロ・サクソン年代記]》の記録の最終年が1154年であることから,(ことに書きことばについては)12世紀半ばをこの期の終りとする見方もある。…
【リンディスファーンの書】より
…装飾モティーフにはケルト系らせん文,ゲルマン系動物組紐文,地中海系福音記者像等,多様な源泉が合流している。アルドレッドがラテン語テキスト行間に加えたアングロ・サクソン語(古英語)による逐語訳は,最古の福音書英訳として知られる。現在,ブリティッシュ・ライブラリー蔵。…
※「アングロサクソン語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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